キーウォーカー・真瀬正義社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)
―不動産業界全体でみれば、データを活用する企業はまだまだ少ない。ビッグデータ活用をすることに、どんな恩恵があるのかもう少し教えてください。
昔、メジャーリーグでオークランド・アスレチックスがデータを活用して戦略をたてて、大きな話題になりました。映画にもなりました(※3)。本当に、あれが良い例で、データを活用することでライバルに勝つことができるようになります。当社の利用企業は大手が多いのですが、実は中小企業こそデータを使って勝つべきだと思っています。実際に導入している中小の不動産会社の多くは成功しています。
※注3=『マネー・ボール』(2011年・アメリカ・監督:ベネット・ミラー)
ビッグデータを活用したマーケティングを行うことで、集客を強化することもできます。民泊などインバウンド需要を分析することもできる。自社のHPへのアクセス解析などもデータを集めることで効率よく増やすことができます。
―こういった分析ツールを不動産業界は使いこなすことができるのでしょうか。
最初は自社でエクセルを使った分析で良いと思います。そこからはじめて、規模や情報量が必要になったら当社のようなツールを使ってもらう。できることから取り組んで欲しいです。
逆を返せば、周囲がまだまだ取り組んでない状況であるからこそ、勉強しなければいけないと思います。こうしたデータに関わる部分を広告関連の会社に外注しているところもあると思いますが、今後は自社で分析する能力が必要になると思います。
―キーウォーカーの将来について、どんな展望がありますか?
大量のビッグデータを集めて分析して、世の中がどう変わっていくかを予測していきたいと思っています。
我々のミッションは「データが語る “未来”を予測するサービスの実現」です。世の中で起きていることはデータを集めることで俯瞰して知ることができます。すでにニュースやホテル料金や航空会社の料金、飲食店や家電の口コミなどがありますね。こうした情報と、企業が持っている内部のデータを掛け合わせることで、これまで考えられないような予測が可能になってきます。
例えば天候データを活用して、週末のイベント集客を予測し、広告を変えるなどが可能になる。コンビニの出店でも、曜日ごと、月ごとなどから分析ができる。商品ごとの売れ具合なども分析し、繁忙期の予測もできます。
―いま、感じている課題はありますか。
不動産でいえば、データが開示されていない点です。アメリカでは不動産の取引データが開示されており、すぐに調べることができます。日本ではわからないので、様々な不都合があります。
また、不動産業界では、それぞれが持っているデータに統一感がありません。これでは活用しづらい。でも実は、そういったバラバラのデータの泥臭い名寄せなどは、当社の得意分野でもあります。駅からの距離や和暦・西暦などを綺麗にまとめてデータ化するノウハウがありますから。
とにかく、不動産業界で働く人々に言いたいのは、データは取り続けなければいけないということ。1年のデータでも、季節による変動などがはっきり分かりますから。これを積み重ねていけば、さまざまな無駄が解消できるはずです。データ収集をはじめて欲しいです。