住宅建設会社　騰落率ランキング【2024年版】

上場住宅メーカー30社（※）について、2024年の大発会と大納会における株価を比較、騰落率をランキングしました。上場企業全体での新陳代謝が話題になる中、投資家の目を引いた住宅建設企業を紹介します。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

画像=PIXTA

集計方法

• 2024年1月4日（大発会）の終値と2024年12月30日（大納会）の終値を比較
• 大発会・大納会に取引がなかった企業は、取引があった直近の日の終値を比較
• 2024年中に株式分割を行った会社は、株式分割後と比較できるよう調整した値を「株式分割調整後終値」の欄に掲載

2024年の1年間で騰落率100％以上は1社のみ

1位はグリーンエナジー＆カンパニーで、2024年大発会時点では856円だった株価が、大納会時点では2,218円となり、騰落率は159%となりました。同社は2009年4月に設立され、現在は太陽光発電を主軸としたグリーンエネルギー事業を展開しています。2024年5月に持株会社体制となり、商号をフィットからグリーンエナジー＆カンパニーに変更しました。

同社は、主に株主優待制度を拡充したことが投資家の人気を呼んで株価を上げました。太陽光発電が主力ですが、アメリカの体制がバイデン政権からトランプ政権に移行しても人気を維持しており、広く事業の将来性に期待されている様子が分かります。

2位は安江工務店で、年初は1,357円だった株価が、大納会では2,137円、騰落率は57%でした。同社は主に愛知県で住宅リフォームや新築注文住宅請負、不動産流通事業を行っています。

安江工務店の株価が上昇した理由は、省エネ機能の高い住宅販売などを手掛けるサーラコーポレーションが、TOBで同社を完全子会社化することが発表されたからです。TOBの買い付け価格が1株2,150円なので、それに近い価格まで株価が上昇しました。安江工務店は今後上場廃止となる見込みです。

3位はレオパレス21で、大発会時点で415円だった株価が、大納会時点で592円になり、騰落率は43%でした。同社は主に単身者向けアパートの賃貸及び管理、営繕工事、賃貸関連の諸サービス事業などを営んでいます。

同社は施工不良問題で傷ついた信頼の回復を経営方針の第一に掲げています。現在も施工不良建物の改修を続け、その数は2024年4月末時点で約16,400戸にのぼります。一時期は会社の存続も危ぶまれましたが、粘り強く経営危機を乗り越えた姿に力強さを感じている投資家も多いようです。

1位の企業以外は騰落率100未満という結果でした。また、内容も2位はTOBによる上昇、3位は施工不良からの信頼回復と、新技術の開発発表のような積極的な買いではありません。住宅建設業界に向けられる投資家の目は厳しく、国内需要が減少している住宅建設業界の生き残りをかけた競争や淘汰がこれからも続くものと予想されます。

大発会時点の終値より大納会のほうが終値が上昇した会社は30社中20社で、住宅建設会社全体の株価の平均は一年で約11％上昇と、全体としては昨年の調査とあまり変わらない数字となりました。