不動産関連サービス企業　株価上昇騰落率ランキング【2023年版】

上場している不動産関連サービス企業29社（※）につき、2023年初めの大発会および同年の大納会の株価を比較し上昇騰落率をランキングしました。リクルートHDが堅調に上昇する一方で、1年で極端に株価が上昇した企業は見当たらず、投資家の様子見モードが垣間見える結果となりました。コロナ禍後の大きく変化する社会情勢の中、株価を上昇させた企業を俯瞰します。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

集計方法

• 2023年1月4日（大発会）の終値と2021年12月29日（大納会）の終値を比較
• 大発会・大納会に取引がなかった企業は、取引があった直近の日の終値を比較
• ニッポンインシュア（2023年10月3日IPO）は、取引初日の終値と比較
• 2023年中に株式分割を行った会社は、株式分割後と比較できるよう調整した値を「株式分割調整後終値」の欄に掲載

2023年の上昇騰落率1位はリクルートHD で約44％

1位はリクルートホールディングスで、2023年大発会時点で4,144円だった株価が、大納会時点では5,963円となり、上昇騰落率は43.9%を記録しています。リクルートHDは求人広告や人材派遣、斡旋事業などを手掛け、日本のほか、アメリカ・中国・インド・オーストラリア・オランダなどで海外事業を展開しています。不動産関連事業としては不動産・住宅に関する総合情報サイト「SUUMO（スーモ）」を運営しています。

リクルートHDは日本のメディア運営会社の中でも特に著名な企業ですが、同社でも約44％の上昇と手堅い株価になったのは、2023年はアメリカの求人市場の縮小により、アメリカ版の求人検索サイト「インディード」の成長にブレーキがかかったためです。

2位はじげんで、2023年初時点で379円だった株価が、大納会時点では531円と、40.1%の上昇騰落率となりました。じげんは賃貸物件情報サイト「賃貸スモッカ」や、東南アジアを中心とした海外不動産ポータルサイト「SEKAI PROPERTY」などの不動産メディア事業を手掛けます。元々は2006年にドリコムとリクルートグループのジョイントベンチャー企業として、リクルートが40%出資して設立された会社です。

3位はSpeeeで、2023年初時点では1,455円だった株価が、大納会時点で1,952円と、上昇騰落率34.2%となりました。中古不動産売却マッチングサービス「イエウール」や外壁リフォームマッチングサービス「ヌリカエ」など、テクノロジーを生かした不動産関連メディアやDX事業を運営しています。

1～3位までの企業の特徴としては、インターネットを利用した情報提供・マッチングサービスを提供していることで、消費者はスマホ一つでアクセスでき、物理的・時間的拘束が少ない利便性の高さから、より一層の事業拡大が期待されます。これからの不動産事業の在り方として、事業内容の将来性を買われたと考えられます。

とはいえ、2023年時点では上昇騰落率100％を超える企業はなく、株価が2023年初よりも年末の方が高かった企業も29社中16社と約半分となり、不動産関連サービス業種全体では3％の上昇とほとんど横ばいでした。このジャンルに関する投資家の様子見モードが窺われます。2024年に入って市場全体では急激な株価上昇が進んでいますが、この動きが不動産関連サービス業種においてはどのように反映されるのか、投資家の動きが注目されます。