住宅建設業界 人件費ランキング 2023
上場している住宅建設企業社34社(※)について、人件費が多い順にランキング形式で紹介します。また、前年度からの増加率も掲載しています。人件費とは、社員に支払われる給与や手当、退職金、福利厚生費等の他に、この調査では役員報酬も含まれます。2023年10月には東京都の最低賃金の大幅引き上げがされた中で、上場住宅メーカーの人件費の動向について俯瞰しました。
※=編集部基準
集計方法
・2022年7月期~2023年6月期の各社の有価証券報告書より集計
・「人件費」は、役員報酬の総額に加え、「販売費及び一般管理費」のうち公表されている人件費関連項目を足して算出
・連結決算の会社は原則として連結会計年度における人件費の数値を採用、ただし役員報酬などの人件費が提出会社のデータしか公表されていない場合は提出会社の数値を採用
・人件費の総計を公表している企業はその数値を掲載
・単位は百万円
住宅メーカー人件費第1位は大和ハウス工業
順位 | 会社名 | 2023年 人件費(百万円) |
前年度からの 増加額(百万円) |
前年度からの増加率 |
---|---|---|---|---|
1 | 大和ハウス工業 | 248,067 | -473 | 100% |
2 | 積水ハウス | 146,387 | 9958 | 107% |
3 | 住友林業 | 93,539 | 7870 | 109% |
1位は大和ハウス工業で、人件費の総額は2,480億6,700万円でした。大和ハウス工業は住宅メーカー売上高第一位を誇る住宅建設業界のトップランナーで、住宅以外にも物流施設や医療介護施設、食品施設など、様々な施設建設を手掛けています。2023年10月には、同グループ傘下のコスモスイニシアが、賃貸マンションの駐車場空き区画に 「衣類乾燥機付きトレーラーハウス」を設置して入居者向けに需要測定の実証実験を開始するなど、多様な領域での事業活動拡大を図っています。
同社の従業員数はグループ全体で4万8,831人と、不動産業界売上高第一位の三井不動産(2万4,706人)の倍近い人数で、人件費も会社規模に見合った多さとなりました。前年度からの増加額がマイナス4億7,300万円なのは、退職給付費用がマイナス42億4,600万円となっているためで、これは退職金制度の一部に確定給付型の確定拠出年金制度を採用しているからです。確定給付型の制度においては、株式市場等の変動により退職給付費用が大幅に変わるケースがあります。同社では、退職給付会計にかかる数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理しているため、本年度はマイナス計算となったと考えられます。
2位は積水ハウスで、人件費の総額は1,463億8,700万円です。積水ハウスは戸建て住宅や分譲住宅を手掛けており、特に分譲マンション「グランドメゾン」や、賃貸住宅「シャーメゾン」などのブランドが有名です。同社は、他3社と保有管理する企業緑地「新・里山」において、2023年10月に環境省の「自然共生サイト」への認定評価を取得するなど、SDGsの取り組みにも熱心です。
同社の従業員数は2万9,052人で、人件費は前年度から107%増加しており、そのうち「従業員給料手当及び賞与」が1,156億8,800万円と約8割に及びます。
3位は住友林業で、人件費は939億5,900万円でした。住友林業は創業330年の老舗企業で、山林事業をベースとして、木材建材事業や住宅事業等を手掛けます。10月には、同社の「木造ラーメン工法による剛接合登り梁住宅」が、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2023年度グッドデザイン賞」を受賞しています。
従業員数は2万1,948人で、人件費は前年比で109%増加しています。同社は大和ハウス工業と同じく退職金制度の一部に確定拠出年金制度を採用しているため、退職給付費用がマイナス23億9,000万円となっていますが、全体の人件費が増加したため、人件費アップとなりました。
順位 | 会社名 | 2023年 人件費(百万円) |
前年度からの 増加額(百万円) |
前年度からの増加率 |
---|---|---|---|---|
4 | 大東建託 | 56,006 | -1920 | 97% |
5 | 飯田グループホールディングス | 52,881 | 6150 | 113% |
6 | タマホーム | 23,115 | 2232 | 111% |
7 | オープンハウスグループ | 21,157 | 4170 | 125% |
8 | 東建コーポレーション | 20,597 | -1368 | 94% |
9 | レオパレス21 | 16,525 | -4927 | 77% |
10 | 長谷工コーポレーション | 13,652 | 843 | 107% |
2023年度は確定拠出年金制度の関係で人件費を抑えられた企業もありましたが、業界全体では人件費が増加傾向にあります。今後は給料アップの社会的要請に応じて、人件費はさらに増加するものと考えられます。
順位 | 会社名 | 2023年 人件費(百万円) |
前年度からの 増加額(百万円) |
前年度からの増加率 |
---|---|---|---|---|
11 | ナック | 8,345 | -110 | 99% |
12 | 日本ハウスホールディングス | 5,657 | 650 | 113% |
13 | ケイアイスター不動産 | 5,284 | 196 | 104% |
14 | サンヨーホームズ | 3,508 | -163 | 96% |
15 | グランディハウス | 3,439 | 375 | 112% |
16 | 土屋ホールディングス | 3,330 | 161 | 105% |
17 | 三栄建築設計 | 3,288 | 105 | 103% |
18 | フジ住宅 | 3,084 | -54 | 98% |
19 | ウエストホールディングス | 2,791 | 230 | 109% |
20 | アールシーコア | 2,007 | -61 | 97% |
21 | ハウスフリーダム | 1,355 | 32 | 102% |
22 | Robot Home | 1,149 | 106 | 110% |
23 | ファースト住建 | 1,141 | 11 | 101% |
24 | NITTOH | 1,104 | 74 | 107% |
25 | セレコーポレーション | 1,043 | 91 | 110% |
26 | Lib Work | 991 | 86 | 110% |
27 | 安江工務店 | 852 | -6 | 99% |
28 | フィット | 740 | 112 | 118% |
29 | KHC | 738 | 44 | 106% |
30 | ファーストコーポレーション | 545 | -77 | 88% |
31 | メルディアDC | 543 | 171 | 146% |
32 | エムビーエス | 454 | 18 | 104% |
33 | ルーデン・ホールディングス | 338 | -322 | 51% |
34 | サンユー建設 | 248 | -9 | 96% |