賃貸住宅建築専業メーカー比較 2023

賃貸住宅建築メーカー大手3社である「大東建託」「レオパレス21」「東建コーポレーション」について、2022年3~4月期の売上、営業利益、純利益、社員数、物件管理戸数、2023年5月上旬の時価総額を比較します。各社がコロナ禍の影響から脱しつつあり、なかでもレオパレス21の業績回復が目立っています。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=PIXTA

集計方法

  • 大東建託・レオパレスは、2023年3月期決算説明資料、および社員数は2022年3月期の有価証券報告書より集計
  • 東建コーポレーションは、2022年4月期の有価証券報告書より集計
  • 連結決算の数値を採用
  • 2023年5月2日時点の時価総額を集計
  • 物件管理戸数の数値は、週刊全国賃貸住宅新聞の「2022年管理戸数ランキング」より集計

    売上ランキング:3社とも上昇傾向に転じる

    順位 会社名 2022年5月時点集計
    売上高
    (百万円)
    前期売上高(百万円) 売上高
    前年比(%)
    1 大東建託 1,657,600 1,583,000 104.7%
    2 レオパレス21 406,449 398,366 102.0%
    3 東建コーポレーション 311,586 309,809 100.6%

     

    1位は大東建託で、売上高は1兆6,576億円でした。昨年の1兆5,830億円から前年比104.7%の増加となり、大手3社のなかでは最も順調にコロナ禍のダメージから回復しています。大東建託は土地活用を考える地主向けに、賃貸住宅経営を企画から一括してサポートする「賃貸経営受託システム」を提供しています。また、木造の賃貸併用住宅「シエルオーナー」ブランドを手掛けます。

    2位レオパレス21は売上高40,64億4,900万円で、前年比102.0%と、こちらも前年比よりプラスに転じています。3位東建コーポレーションは3,115億8,600万円となり、前年比101%とわずかながらプラスとなりました。

    賃貸住宅業界は縮小傾向にありますが、コロナ禍の巣ごもり需要により、都心や交通の便の良い都市部のベッドタウンの人気が高まり、こうした地区に土地を持つオーナーが賃貸住宅建設を検討するケースも増えています。

    また、新築工事の受注だけでなく、サブリースによる管理の強化やリーシング・仲介事業にも注力する姿勢が、各社で顕著になってきています。

    営業利益・純利益ランキング:純利益は3社とも回復 レオパレス21の巻き返し目立つ

    順位 会社名 2023年5月時点集計
    純利益
    (百万円)
    前期営業利益
    (百万円)
    営業利益
    前年比(%)
    2023年5月時点集計
    純利益
    (百万円)
    前期純利益
    (百万円)
    純利益
    前年比(%)
    1 大東建託 100,000 99,500 100.5% 70,300 62,200 113.0%
    2 レオパレス21 19,810 11,854 167.9% 18,100 7,400 178.0%
    3 東建コーポレーション 15,039 15,562 96.6% 10,275 10,080 101.9%

     

    1位は大東建託で、営業利益1,000億円(前年比100.5%)、純利益703億円(前年比113.0%)とでした。

    コロナの影響が大きかった、2021年4月期では、営業利益867億円、純利益は622億円だったことと比べてば徐々に復調しています。しかし、コロナ前の2020年4月期の時点で営業利益1,279億5,600万円、純利益907億1,400万円という業績でしたから、まだコロナ前の水準には戻っていないことがわかります。

    他方、ここ数年深刻な赤字状態が続いていたレオパレス21ですが、営業利益・純利益ともに黒字を維持しています。

    2018年4月に発覚した施工不良問題がきっかけで業績が悪化し、一時は倒産の危機も噂されましたが、経営陣の信頼回復の努力や、同社の施工不良問題に関する世間の関心の低下などがプラス材料になったようです。レオパレス21は引き続き事業改革を進めており、国際事業7拠点のうち6拠点から撤退、2023年4月末にはこれらの国際事業関連WEBサイトを閉鎖しています。

    社員数ランキング:大東建託は微増 他2社は減少

    順位 会社名 2022年4月期時点
    社員数
    2021年4月期時点
    社員数
    社員数
    前年比(%)
    1 大東建託 17,650 17,422 101.3%
    2 東建コーポレーション 5,183 5,283 98.1%
    3 レオパレス21 4,356 5,082 85.7%

     

    社員数ランキングでは、1位大東建託は1万7,650人と、去年より228人社員を増やしました。事業規模からすると101%の微増ですが、コロナ禍のダメージからの回復に手ごたえを感じていることが窺えます。

    2位東建コーポレーションは5,183人と前年より100人社員を減らし、前年比98%の微減、3位レオパレス21は4,356人と726人社員を減らして、前年比86%となっています。大東建託以外の2社の態度からは、引き続き事業拡大に慎重な姿勢が感じられます。

    時価総額ランキング:東建コーポレーションは減少

    順位 会社名 2023.5.2時点
    時価総額
    (百万円)
    2022.5.2時点
    時価総額
    (百万円)
    時価総額
    前年比(%)
    1 大東建託 878,717 815,312 107.8%
    2 レオパレス21 121,545 64,231 189.2%
    3 東建コーポレーション 105,216 114,916 91.6%

     

    時価総額は1位大東建託が8,787億1,700万円で前年比108%と、前年から回復しました。2位レオパレス21の時価総額回復はさらに顕著で、1,215億4,500万円と、前年比189%の大幅アップとなっています。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻など、先の見えない状況にもかかわらず同社が営業利益・純利益を黒字化させたことは、投資家に好材料として受け止められたようです。

    3位東建コーポレーションは、1,052億1,600万円と、前年比92%という結果となりました。東建コーポレーションは純利益は前年比増だったものの、営業利益は前年比減で、コロナ禍の影響から思うように回復できておらず、投資家の目は厳しくなっているようです。

    東建コーポレーションは家にいながら土地活用や賃貸経営の相談が可能な「オンライン相談・メール相談」に力を入れており、気軽に相談したい土地オーナーや、離れて暮らす家族と一緒に相談したいといったニーズにも対応しています。

    物件管理戸数ランキング:大東建託が120万戸突破

    順位 会社名 物件管理戸数
    2022年8月
    物件管理戸数
    2021年8月
    売上高
    前年比(%)
    1 大東建託 1,202,245 1,174,264 102.4%
    2 レオパレス21 567,314 573,673 98.9%
    3 東建コーポレーション 260,611 255,416 102.0%

     

    2022年の物件管理戸数ランキングは、1位大東建託が120万2,245戸となり、前年より2万7,981戸増え、確実に管理戸数実績を増やしています。2位レオパレス21は56万7,314戸と前年比99%の微減ですが、業績の回復により今後は物件管理戸数が増えると考えられます。3位の東建コーポレーションは去年より26万611戸で、去年より102%の微増でした。

     
    • line
    • facebook
    • twitter
    • line
    • facebook
    • twitter

    本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

    このコラムニストのコラム

    このコラムニストのコラム一覧へ