不動産業界　負債の多い企業ランキング　2022

不動産業界　負債の多い企業ランキング　2022

上場不動産会社115社（※）を、負債の合計額が多い順にランキングしました。借金は、業績不振の場合だけではなく、事業拡大を推し進める目的で行うことも多いため、負債が多くても必ずしもネガティブにとらえる必要はありません。コロナ禍で不動産業界でも明暗が分かれる中、どの企業が多くの借金をしたのでしょうか。前期よりも負債合計の増加率が高かった企業についてもまとめました。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

集計方法
・2021年3月期から2022年2月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・流動負債・固定負債を合算
・連結決算の場合は連結数値を集計

画像＝写真AC

1位は業界トップの三井不動産　上位企業に変化なし

1位は昨年からトップを守った三井不動産で、負債合計は5兆859億8,100万円でした。昨年は4兆9,088億3,300万円でしたので、1,771億4,800万円増加し、5兆円を突破しました。日本の不動産企業で唯一、5兆円超の負債を持つ企業となっています。

5兆円という金額は、仮に2021年時点の全日本国民に配布すると、一人当たり3万9,840円もらえる計算です。借金は信用力がなければできませんので、全国民に4万円近いお金を支給できるほどの借金ができるとは、さすが売上高日本一の大手デベロッパーと言えるでしょう。

2位は住友不動産で、負債合計4兆1,706億4,500万円、3位は三菱地所となり、負債合計は4兆110億7,000万円でした。上位3社の負債額はいずれも前年比102～104％と増加しています。

4位は東急不動産ホールディングスで、負債合計は2兆435億7,300万円と、昨年比108％と大きく増加していますが、それでも上位3社の半分程度の借金額となっています。

負債ランキング1位～10位までは、以下の通りとなっています。

上位ランキング企業に大きな変動はありませんでした。また、東京建物以外の全企業が負債を増加させており、コロナ禍の影響を感じさせるランキングとなっています。

負債合計増加率1位はデュアルタップ

続いて、前期比で負債合計増加率が高かった企業10社をご紹介します。

1位はデュアルタップで、負債増加率は前期比250％となっています。デュアルタップは主に東京23区で投資運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」の企画・開発を行っています。また、不動産の賃貸管理、仲介及び建物管理なども行っています。

同社はコロナ禍の影響があり、売上高は前年比減、経常利益も前年からは大きく下げています。有価証券報告書においては、安易な拡大路線は取らずに採算性を重視する方針を明らかにしており、守りの姿勢でかじ取りをしていることが窺えますが、借金を増やさざるを得ない状況のようです。

2位は霞が関キャピタルで、負債増加率は前期比250％です。同社は不動産コンサルティング事業として、未利用や老朽化した不動産を獲得し、その価値を最大化させるプロデュースをしています。コロナ禍においても業績好調な不動産企業の1社で、積極的な事業拡大のための借金と考えられます。

調査対象とした不動産企業115社全体の負債増加率は110％で、多くはコロナ禍による影響を補うための借金と考えられます。今後も、物価高や円安、見通しがつかない世界情勢などが影響して、経営不振の企業が借金を増やすケースが多くなることでしょう。