上場している不動産会社　従業員一人あたり売上高ランキング2022

上場している不動産会社　従業員一人あたり売上高ランキング2022

上場している不動産企業115社（※）について、2021年12月期までの従業員一人当たりの売上高を集計、ランキングしました。従業員一人当たり売上高は、売上高を従業員数で割って算出でき、企業の従業員の生産性を示す指標になります。あわせて、従業員一人当たり売上高の前年比増加率ランキングトップ10も紹介します。（リビンマガジンBiz編集部）

※注＝編集部基準

集計方法
・2021年1月期から2021年12月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・売上高を従業員数で割って算出
・従業員数は正規従業員のみを集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載

画像=写真AC

従業員一人当たり売上高10億円超えはアルデプロ1社のみ　

1位は昨年に引き続きアルデプロで、売上高182億8,600万円に対し、従業員数は18名で、従業員一人当たり売上高は10億1,589万円でした。アルデプロは、旧耐震基準のビルについて、借家人などの利害関係人の同意や権利関係の調整をして、ビルの取り壊しおよび建築・再生を行う「再開発アジャストメント事業」などを行っています。

昨年の11億8,883万円からは前年比85%と、ダウンとなりましたが、不動産業界では唯一、従業員一人当たり売上高10億円超を維持しました。同社は、中古のビルや商業施設などを再生し販売する「再活事業」をメインにしていましたが、この事業をさらに拡大する形で先述の再開発アジャストメント事業を推進しています。長年住んだビルの借家人の同意や権利関係の調整は、機械的・画一的にはできない、専門的なスキルが必要とされる業務だけに、今後も底堅い需要が予想されます。

参考記事
「上場している不動産会社　従業員一人あたり売上高ランキング2021 」

2位は地主で、売上561億7,700万円に対し、従業員数は74人で、従業員一人当たり売上高は7億5,915万円でした。地主は2022年1月に「日本商業開発」から社名を変更しており、昨年の2位と同じ会社です。「JINUSHIビジネス」という、事業用の定期借地権を活用して、土地のみに投資するという独自の不動産投資をウリにしています。

昨年は売上増加率が前年比176％と勢いがあった同社ですが、今年は前年比75％と勢いはややダウンする結果となりました。しかしながら、コロナ禍中に、2020年に決算期を3月から12月に変更するなど動きのある中での数値ですので、ネガティブなデータではありません。有価証券報告書においても引き続き強気の目標を掲げています。

ランキング1～5位までが、従業員一人当たり売上高増加率が前年より減少しており、コロナ禍を反映して厳しい結果となりました。

不動産業種　従業員一人当たり売上高増加率　TOP10

前年比で、従業員一人当たり売上高増加率が高かった企業上位10社はこのようになっています。 

1位は霞が関キャピタルで、179％と著しい増加率を記録しています。同社は投資家サイドに立った不動産コンサルティングや、保育園、自然エネルギー事業等を手掛けています。特に太陽光や風力などの自然エネルギー発電は、SDGsの流れも相まって世界的に注目度が高く、今後も事業拡大が見込めるでしょう。

2位は従業員一人当たり売上高ランキングでも10位に入っていたヒューリックでした。従業員を前年から500人近く削減したうえ、営業収益はアップしているので、170％と言う伸び率となりました。同社は主に東京都心で不動産賃貸や開発を行っています。

全企業の売上高増加率の平均は99％となりましたが、ヒューリックのように従業員を大幅削減したために売上増加率が上がった会社も複数あると考えられます。コロナに加えウクライナ情勢によって物価高となり、世界の先行きが不透明な中、各不動産会社は引き続き難しい経営を迫られそうです。