不動産関連サービス業　営業Ｃ／Ｆ ランキング　2021

不動産関連サービス業　営業Ｃ／Ｆ ランキング　2021

上場している不動産関連サービス業22社（※）について、営業キャッシュフローが多い順に紹介します。営業活動によるキャッシュフロー(営業C/F)とは、本業による収入と支出の差額のことで、会社の経営状況を表す指標です。本業でしっかりと現金を回収できていることは、健全な会社経営の基本となります。コロナ禍の中でも経営が安定している企業をランキングしました。（リビンマガジンBiz編集部）

※＝編集部基準

集計方法
・2020年6月期から2021年5月期までの最新の有価証券報告書を元に集計

営業C/F100億円以上は2社　リクルートHDが首位

1位はリクルートホールディングスで、営業C/Fは2,865億9,700万円となりました。2位に10倍近い差をつける結果となり、金額もコロナ前の水準をほぼ維持しています。調査対象とした他企業との事業規模の大きさに違いがあるとはいっても、経営状態が安定していることが窺えます。「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」がマイナスとなっているのも、優良企業に多い特徴です。

リクルートHDは求人情報オンラインプラットフォーム「Indeed」「Glassdoor」を経営するほか、住宅や美容、結婚などといった多様なジャンルのプラットフォームを運営し、広告事業を展開しています。主な事業であるオンライン求⼈広告・採⽤ツール市場は、新型コロナの影響で2020年は市場規模が縮小しました。しかし、同社は長期的には同市場は成長すると見込んでいます。コロナが収束すれば、新規雇用を控えていた会社がオンラインを活用した求人を活発化するのは想像に難くありません。

2位は全国保証で、営業C/Fは302億1,100万円でした。主たる事業が不動産関連のサービス業に特化している企業としては1位となっています。同社もまた、投資C/F、財務C/Fともにマイナスとなっており、経営状態が良いことが分かります。

全国保証は、マイホームを購入する際、保証料と引き換えに住宅ローンの連帯保証人を引き受ける信用保証事業を営んでいます。コロナ禍により快適な住宅への住み替え需要が高まる一方、少子高齢化で家族・親族や知り合いの中から連帯保証人を探すのが難しくなっています。同社のような信用保証会社のニーズは今後も高いと予想され、事実、コロナ後の営業収益も右肩上がりで推移しています。

3位はLIFULLで、営業C/Fは48億8,400万円でした。同社は、売上高はコロナ前よりも減少したものの、営業C/Fは前年度よりも増加しています。LIFULLは楽天が18.06%出資する関連会社で、不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」のほか、老人ホームや介護施設等の検索サイト「LIFULL 介護」なども手掛けています。

LIFULLはコロナ禍により、海外事業の将来計画を見直した結果、これにかかるのれんの減損損失を計上しました。他方、HOME’S関係事業はコスト計画の見直しや抑制により、収益性が改善しています。

全体としては、22社中16社が営業C/Fをプラスとした一方、6社が営業C/Fマイナスとなり、コロナ禍の影響を感じさせるランキングとなりました。