不動産業界 負債の多い会社ランキング 2021
上場している不動産会社115社（※）を、負債の合計額が大きい順にランキングしました。借金は不動産開発等の大事業には欠かせないため、多くの借金ができることは、会社の信用力の高さを反映しています。また、前期よりも負債合計の増加率が高かった企業についてもまとめました。（リビンマガジンBiz編集部）
※注＝編集部基準
集計方法
・2020年3月期から2021年2月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・流動負債・固定負債を合算
・連結決算の場合は連結数値を集計
画像＝Pixta
1位～3位は財閥系不動産企業 1位三井不動産は約5兆円
1位は昨年の同様の調査と同じく三井不動産(負債合計4兆9,088億3,300万円)、2位は住友不動産(負債合計4兆226億2,400万円)、3位三菱地所(負債合計は3兆9,170億300万円)でした。この3社はともに財閥系のデベロッパーで、高い信用力をバックに、1社あたり4～5兆円もの莫大な借金をして、多くの事業を国内外で展開しています。
スウェーデンの2020年度の国家予算案が約13兆円ですから、3社合計の借金だけでスウェーデンを1年動かして行かれるほどの金額です。4位の東急不動産ホールディングスの負債額は1兆8,931億2,300万円と、3位三菱地所の半分程度なので、トップ3社の負債額が不動産業界において並外れていることが分かります。
負債ランキング1位～10位まではこのようになっています。
10社中8社までが負債額1兆円を超える結果となりました。また、10社中6社が2020年3月期決算で、まだコロナの影響がそれほど出ていないころのデータとなっています。今後はコロナ禍の影響を受け、負債額が増大する企業が多くなることが予想されます。
負債合計増加率1位はグッドコムアセット
続いて、前期に比べて負債合計増加率が増加した企業トップ10をご紹介します。
上位3社ともコロナ禍での決算となっています。1位はグッドコムアセットで、負債合計の増加率は前期比214％でした。グッドコムアセットは投資用マンション「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズの開発・販売・管理を行っています。
グッドコムアセットはコロナ禍中にもかかわらず、売上は前期より上昇しており、手堅い経営で利益を確保しています。一方、有利子負債への依存度は前期の48.1%から62%に増大しており、経営課題の一つとして金融機関からの借入を減らすことに取り組んでいます。
また、2位のグッドライフカンパニー、3位のサンセイランディックも割合としては1位と同じ214％となっています。グッドライフカンパニーは昨年に引き続き2位で、コロナ禍においても売上を維持しており、成長のための負債と考えられます。
一方、3位のサンセイランディックは売上を落としており、負債の増大はコロナの影響があったものと考えられます。
1位、2位の会社は投資用不動産に関する事業を主力としており、この分野ではコロナ禍の影響が比較的少ないことが推察されます。
