不動産業界生涯賃金ランキング2021
従業員数50名以上の上場不動産企業77社(※)を対象に、従業員の平均年収・生涯賃金を高い順にランキングしました。コロナ禍で先の読めない状況の中、高給を維持した企業トップ10の中には、創業10年で従業員年収約1,000万円という急成長企業もありました。あわせて、業界全体の生涯賃金・平均年収の平均もご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
集計方法
・2020年3月期から2021年2月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・従業員数50名以上
・グループ会社の場合、有価証券報告書で公表されている単体会社の平均給与で計算
・20歳から64歳までの45年間を就労期間として推計
・賞与を含む
1位はヒューリック 2位は三菱地所が三井不動産を逆転
1位は前年の調査と同じくヒューリックで、生涯賃金は7億6,864万5,000円、平均年収は1,708万1,000円となりました。ヒューリックは、日本郵政不動産と共同開発した「ヒューリックJP赤坂ビル」をはじめとして、東京23区に数多くのビルや不動産を保有する会社です。在宅ワークが推奨され、インドアの趣味に注目が集まる中、将棋のヒューリック杯棋聖戦の名によって、都心以外でも同社の知名度は高まっています。
前回調査時、平均年収は1,760万9,000円でしたので、年収は50万円ほど下がり、生涯賃金に換算すると2,376万円ダウンした計算です。しかし、ヒューリックは2020年12月決算ですので、コロナ禍の影響をもろに受けての数字であり、むしろ先の読めない状況においても高い給与水準を維持していると言えます。
2位は丸の内の大家さんと呼ばれる業界第二位の大手デベロッパー・三菱地所で、生涯賃金5億7,307万5,000円、平均年収1,273万5,000円でした。企業の売上高などで業界第一位である三井不動産が生涯賃金5億7,303万円、平均年収1,273万4,000円となり、平均年収1,000円の差で2位となりました。1,000円の差というのは、生涯賃金に換算しても数万円程度で、両社の給与水準は互角と言うことができます。
三菱地所と三井不動産は2020年3月期決算なので、2020年2月ごろから急拡大したコロナ禍の影響は限定的です。今後、2021年3月期決算の有価証券報告書で、両社の給与水準にどのような差が出るのかが注目されます。
大手不動産企業や老舗企業が居並ぶ中で、6位の霞が関キャピタル、8位のLeTech(2021年2月にリーガル不動産から社名変更) の2社は2018年上場と、フレッシュで勢いのある企業がランクインしています。
霞が関キャピタルの生涯賃金は4億4,923万5,000円、平均年収998万3,000円となっています。同社は東日本大震災で被災したショッピングセンターの再建を目的として設立され、不動産コンサルティングのほか、太陽光発電等の自然エネルギー事業を手掛けています。
2011年9月創業という若い会社が、10年後には従業員に1,000万円近い年収を給与しているという事実に驚愕します。前回調査時は従業員数が38名と、50名に満たなかったため調査対象外としていました。アメリカのバイデン政権がクリーンエネルギー事業に力を入れることを表明する中、太陽光事業を手掛ける同社にも更なるビジネスチャンスが舞い込むかもしれません。
今回調査対象とした77社の生涯賃金の平均は約3億796万円、年収の平均は684万円となり、前回調査よりアップしました。しかし、不動産会社の多くが3月期決算であるため、今後はコロナ禍の影響を受けての収入減が予想されます。