不動産業界税負担の少ない企業ランキング2021
上場不動産企業103社(※)について、2021年1月期までの純利益における税負担率が少ない順にランキング形式でご紹介します。また、上場不動産会社全体の平均的な税負担率や、三井不動産など大手デベロッパー6社の税負担率もピックアップして考察します。コロナ禍で不動産業種間でも明暗が分かれる中、税負担率はどのように変化したかをまとめました。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
集計方法
・2021年1月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載
・税負担率は、損益計算書の「法人税等合計」÷「税金等調整前当期純利益」で算出
・「当期純利益が当期純損失となり、マイナスになっている会社」および「法人税等合計額がマイナスになっている会社」は調査対象外とした
画像=PIXTA
税負担率10%以下の上場不動産会社は7社 1位はアルデプロ
1位はアルデプロで、税負担率は1.3%でした。同社は有効活用されていないビルなどを取得し、地域やニーズに合わせて再活する「不動産再活事業」をメインに行っています。同社の税負担率が極端に低いのは、2017年~2019年の3期にわたって赤字経営が続いた後、2020年は大きく利益が出ており、3年分の繰越欠損金により税負担が軽減されたためです。同社はコロナ禍の影響が少なく、今後も増益が予想されます。
2位はランドで、税負担率は10.9%でした。ランドはマンションやシニア向け住宅の開発のほか、太陽光発電所をはじめとする再生可能エネルギーの不動産開発を行っています。同社の税負担が低いのも、過去に発生した繰越欠損金の発生が原因です。ランドは2020年2月期決算のため、コロナの影響がまだ現れていなかった頃のデータです。同社はコロナ禍による影響が大きかった会社の一つであり、今後は純損失の発生により納税額が減少することが決算短信で示されています。
3位は新日本建物で、純利益のうち税負担率は15.4%です。同社は主に東京において、「ルネサンスマンション」シリーズの開発・販売や、他の不動産会社向けの開発用地等の販売、収益物件等の企画販売などを行っています。こちらの税負担が軽いのも繰越欠損金の発生によります。同社はコロナ禍の影響により、売上減・利益減が決算短信によりアナウンスされています。
税負担率20%未満の会社は以下の通りとなっています。
今回調査した上場不動産企業の平均的な税負担率は約34%となり、昨年の33%より若干上昇していますが、これは利益が出ずに純損失となってしまった会社や、納税の関係等で法人税等がマイナスになった会社を除外したためで、業界全体としては税負担率は横ばいとなっていると考えられます。
気になる大手デベロッパー6社の税負担率は
それでは、大手総合不動産会社6社の税負担率についてもご紹介します。
昨年の調査で大手6社中最も税負担が軽かった三菱地所が26.1%となり、今回の調査でも1位をキープしました。前回は26.1%だったので、さらに税負担を軽減させたことになります。103社中11位と、あと少しでトップ10入りするほどの負担率となっています。
また、前回調査に引き続き6社中5社までが103社全体の税負担率平均の34%を下回る結果となりましたが、東急不動産ホールディングスのみが38.8%と、平均以上に負担が大きくなっています。引き続き、税負担の軽減が課題と言えるでしょう。