住宅建設業界広告宣伝費ランキング2021

上場住宅建設会社のうち広告宣伝費を公開している23社(※)について、広告宣伝費が高い順にランキングしました。また、売上高における広告宣伝費割合が高く、広告に力を入れている会社もあわせて紹介します。コロナ禍で消費が落ち込む一方、居心地の良い住宅の需要は高まっています。住宅メーカーはこの状況で、広告宣伝にどの程度費用を割いているのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

集計方法

・2020年2月期から2021年1月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計

・連結決算の場合は連結の数値を集計

・「広告宣伝費」「販売促進費」のどちらか一方のみが明示されている場合はその数値を採用、両方表示されている場合は広告宣伝費のみを集計

画像=Pixta

トップ3は広告宣伝費100億円以上 昨年と順位変わらず 増減率は変化

1位は、昨年に引き続き大和ハウス工業で、広告宣伝費は327億3,300万円となりました。大和ハウス工業は1959年にプレハブ住宅の原点といわれる「ミゼットハウス」を販売、最近では国産材を使った木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)」や、オンライン上で家づくりを体験可能な「Lifegenic(ライフジェニック)」と言った商品やサービスを展開しています。

大和ハウス工業は2020年3月決算の企業なので、2020年2月頃から表面化し始めたコロナの影響は決算に大きく表れてはいませんが、広告費前年比率は92%と、コロナ前から削減傾向だったことがわかります。売上における広告宣伝費率の割合は、前年は0.9%だったのが0.7%と、こちらもダウンしています。

参考サイト

住宅建設業界広告宣伝費ランキング2020

2位も引き続き積水ハウスで、広告宣伝費239億2,000万円となりました。積水ハウスは、「人生100年時代の幸せをアシストする家」をモットーに、IoTの活用により「健康・つながり・学び」のサービスを提供する「プラットフォームハウス」という新しい付加価値を提案しています。

積水ハウスもダイワハウス工業同様、昨年比96%と広告宣伝費をおさえました。こちらは2021年1月決算のデータなので、コロナ禍を考慮しての広告費削減と考えられます。売上における広告宣伝費割合は1%となっています。

3位も昨年と同じく飯田グループホールディングスで、広告宣伝費は149億3,600万円です。飯田グループHDは分譲戸建住宅の国内販売シェアのおよそ3割を占めており、住宅資材の規格化の徹底により、高品質な住宅を手ごろな価格で提供しています。

飯田グループHDは前2社とは対照的に、前年比116%と大きく広告宣伝費を増加させています。2020年3月決算の会社なので、コロナ禍においてもこの傾向が維持されるか注目されます。

広告宣伝費が10億円を超える会社は以下の8社でした。

8社中6社までが2020年3月期決算なので、コロナ禍の影響はこれから表れてくると考えられます。1位~3位の会社の順位は去年と変わりませんでしたが、広告宣伝費の増減については、2社が削減、1社が増加と、3社それぞれ対応が分かれる結果となりました。

売上における広告宣伝費割合が高い企業 一位は安江工務店

それでは、売上における宣伝広告費の割合が高い企業についてご紹介します。

1位は安江工務店で、広告宣伝費率5.2%と、調査した23社中唯一5%超えを記録しました。安江工務店は愛知県名古屋市に本社を置き、無垢の木や漆喰などの自然素材を用いたデザイナーズ住宅「r-cove home(アールコーブ・ホーム)」をプロデュースしています。

同社は2021年12月決算ですが、コロナ禍においても意欲的に成長・拡大路線を進めており、新規営業エリアの拡大や、新規事業の創出とともに、既存の営業エリアにおいては「地域一番店」として顧客からの認知度を上げることに努めています。こうした姿勢が、広告宣伝費率の高さにつながったようです。

2位は昨年1位のナックで、広告宣伝費率は昨年の5.8%から4.6%に下がりました。ナックは注文住宅「ジェイウッド」をはじめとする不動産事業のほか、宅配水の「クリクラ」、掃除用品レンタルの「ダスキン」などを手掛けています。同社はここ数年広告宣伝費率を削減しており、コロナ禍にかかわらず会社の方針として割合を引き下げたと考えられます。

調査対象とした23社全体の広告宣伝費割合の平均は1.6%で、昨年の1.8%から減っています。今後はコロナの影響がよりはっきりと表れるため、広告宣伝費が削減される傾向は続くことでしょう。

 
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