不動産業界 負債依存度が高い企業ランキング2021
上場している不動産企業115社(※)を調査し、総資産中の有利子負債への依存度が高い企業をランキングしました。不動産経営には不可欠な借金ですが、有利子負債に依存しすぎると経営を圧迫します。コロナ禍で売上が減少した上場企業が、金融機関から借財を行うニュースをよく耳にしますが、不動産業界の負債依存度には変化があったのでしょうか。
※注=編集部基準
集計方法
・2019年12月期から2020年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・連結決算の企業は連結貸借対照表を参照
・有利子負債依存度は、「有利子負債残高÷総資産×100」の計算式で算出
・有利子負債残高は、貸借対照表の負債の部に記載されている科目のうち、「短期借入金」「長期借入金」「社債」「コマーシャルペーパー」「リース債務」を抜き出して合算
有利子負債依存度が80%を超える不動産企業は3社 1位はLeTech
1位はLeTechで、総資産における有利子負債の割合は85.4%でした。LeTechは2021年2月1日にリーガル不動産から社名を変更しました。不動産を仕入れてバリューアップを施し再販売する事業を主軸としており、旧社名の通りに任意売却や訴訟がらみの不動産の扱いが得意です。
昨年の同様の調査に引き続き、上場不動産企業第1位の負債依存度となっています。コロナ禍による景気後退で、任意売却のニーズが高まり、同社の持ち味を生かせる状況になってきていますが、その一方、景気の後退は有利子負債に依存している同社にとって経営リスクともなっています。有価証券報告書においても、財務体質の改善が急務であると、強い表現で危機感をあらわにしています。
参考サイト
2位はエスポアで、有利子負債依存度は80.7%でした。エスポアは愛知県名古屋市に本社を置くデベロッパーで、新築マンションの分譲や不動産に関するマネジメント事業などを軸にしています。役員9名・従業員5名の少数精鋭の会社です。
エスポアは昨年・一昨年の調査でも有利子負債依存度トップ3にランキングしており、金融機関からの借り入れには一部に財務制限条項が付されるなど、依存度の高さは以前から有価証券報告書で問題になっています。しかし、なかなか財務状況を改善できないままコロナ禍に突入しました。2021年2月期第3四半期決算短信時点では売上を維持している様子ですが、今後の財政立て直しが課題となっています。
3位はTHEグローバル社で、有利子負債依存度は80.5%です。THEグローバル社は「ウィルローズ」ブランドの新築マンションの企画・販売・分譲や、インバウンド需要を狙った東京・京都でのホテル事業、戸建事業などを幅広く展開しています。
コロナ禍により外国人客が激減したことでホテル事業が大打撃を受け、一部ホテルを除いて休業を余儀なくされています。また、有利子負債依存度が高く、有価証券報告書には財務体質の改善が課題となっています。他方、都心のコンパクトマンション・投資用ワンルームマンションなどは需要が旺盛なため、今後はこうした不動産の仕入れ・開発に取り組む予定です。
コロナ禍で景気が後退する中、トップ3社とも、有価証券報告書にて有利子負債の多さを強く懸念する文言が見られました。コロナ前は、東京オリンピック関連の需要やインバウンドで景気が良く、有利子負債が多くとも明るい見通しが立っていただけに、世界状況の激変に経営陣が強い危機感を覚えていることが窺えます。
115社全体の負債依存度の平均は43.9%で、前年調査の43.5%よりは少し上昇しましたが、コロナ禍による売り上げ減少の影響、および借財の増加傾向は、現時点では顕著には見られていません。また、有利子負債依存度が1%を下回る会社は5社でした。
不動産業界 負債依存度が高い企業ランキング2021
集計方法
・2019年12月期から2020年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・連結決算の企業は連結貸借対照表を参照
・有利子負債依存度は、「有利子負債残高÷総資産×100」の計算式で算出
・有利子負債残高は、貸借対照表の負債の部に記載されている科目のうち、「短期借入金」「長期借入金」「社債」「コマーシャルペーパー」「リース債務」を抜き出して合算
不動産業界 負債依存度が高い企業ランキング2021
集計方法
・2019年12月期から2020年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・連結決算の企業は連結貸借対照表を参照
・有利子負債依存度は、「有利子負債残高÷総資産×100」の計算式で算出
・有利子負債残高は、貸借対照表の負債の部に記載されている科目のうち、「短期借入金」「長期借入金」「社債」「コマーシャルペーパー」「リース債務」を抜き出して合算