不動産会社 PBRランキング2021年集計
上場不動産企業115社(※)を対象として、PBR(株価純資産倍率)の倍率が高い順にランキング形式で紹介します。PBRの倍率の高さは、純資産の1株当たりの価格よりも、株価のほうが高い状態であることを表しています。コロナ禍で、投資家から人気を集める企業の傾向が変化する中、ここ数年変わらなかった高PBR企業の顔ぶれにも変化がありました。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
集計方法
・2021年2月15日15時時点の数値を集計
PBRが10倍以上の不動産会社は2社 不動産テックが大人気
1位はアズームで、1株当たりの純資産が351.39円であるのに対し、株価は3,885円と、PBRは11.06倍となりました。1年前の同様の調査では7位で、前回のPBRは5.51倍だったことを踏まえると、PBRの倍率は倍増しています。
アズームはネット上で月極駐車場のポータルサイト「カーパーキング」にて、自動車所有者に駐車場の紹介を行っています。また、土地所有者向け駐車場サブリースサービスを展開しています。コロナ禍で、公共交通機関を利用せずに移動できる自家用車の重要性が見直される中、投資家から高い注目を集める結果となりました。
参考サイト
「不動産会社 PBRランキング(高実績)2020年1月集計」
2位はGA technologiesで、1株当たり純資産が242.84円であるのに対し、株価は2,456円と、PBRは10.11倍となりました。1年前の調査では5位で、前回のPBRは6.79倍でしたので、1位の企業ほどではありませんが、株価が高騰していることが分かります。
GA technologiesは日本最大級の中古住宅総合プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」を開発・運営しています。コロナにより、より住み心地の良い住環境への引っ越しの関心が高まっていること、AI やRPAなどのテクノロジーを活用し、オンライン内見などが充実していることなどが、高騰の要因とみられます。
1位、2位はともに2018年に新規上場した気鋭の不動産テック企業で、前回調査でもベスト10に入っており、もともと投資家からの期待が高かった企業です。コロナ禍に適した業態により、さらに大きく注目を浴びることになりました。
3位は前回と同じくカチタスでPBRは9.26倍、4位は前回2位のリログループで7.61倍となっています。前回1位だったREVOLUTIONは5位で、6.92倍でした。
PBRが1倍以上で取引されている不動産会社は調査対象の115社中60社で、前回調査の74社よりも少なくなっています。調査を行った2021年2月15日は、コロナ収束への期待感から日経平均株価が30年ぶりに3万円を突破し、株式市場全体の株価が高騰しました。しかし、上場不動産会社のPBRのデータを見ると、全体としてはまだコロナ前の状態には回復しておらず、コロナ禍に強い一部の企業の株価が高騰している様子が窺えます。
例えば、業界1位の三井不動産は前回調査ではPBR1.1倍でしたが、今回は0.94倍となり、業界2位の三菱地所は前回PBR1.64倍に対し1.41倍と、両社とも倍率を下げています。
不動産会社 PBRランキング2021年集計
集計方法
・2021年2月15日15時時点の数値を集計
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