大和ハウスVS積水ハウス【2020年集計版】
日本の大手ハウスメーカー2社「大和ハウス工業」と「積水ハウス」を、売上高、営業利益、純利益、社員数、時価総額、物件管理戸数の6点から比較し考察します。ライバル企業2社の力関係は、コロナの影響を受けてどのように変化したのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)
集計方法
・2020年3月期(大和ハウス工業)および2020年1月期(積水ハウス)の有価証券報告書より集計
・連結決算の数値を採用
・2020年9月29日時点の時価総額を集計
・物件管理戸数の数値は、全国賃貸住宅新聞の「2020年管理戸数ランキング」より集計
売上高・営業利益は大和ハウスが約1.8倍の差、純利益の差は縮まる
売上高は、大和ハウス工業が4兆3,802億900万円に対し、積水ハウスが2兆4,151億8,600万円と、ダイワハウスが約1.8倍の差をつけました。営業利益も約1.8倍の差です。
大和ハウス工業は、戸建て住宅や賃貸共同住宅のほか、商業施設や海外事業にも積極的な大手ハウスメーカーです。コロナ禍を受けて、自宅で家づくりをシミュレーションできる「オンラインで家づくり」のコンテンツや、リモート展示場見学にも力を入れています。
一方の積水ハウスは、同じく戸建てや賃貸、開発や国際事業と、大和ハウス工業と競業する領域が多いメーカーです。コロナ後は、電話やWEB会議を使用し、自宅にいながら住まいづくりを相談できる「おうちで住まいづくり」のサービスを提供しています。
大和ハウスは2019年4月に建築基準不適合問題が発覚し、事業に影響があるのではないかと懸念されました。しかし、その後はビジネス領域が堅調に推移し、2020年3月期は売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。ガバナンスの強化や組織運営の変更など、再発防止への取り組みも評価されたのでしょう。
その一方で、純利益の差は1.59倍と少し縮んでおり、積水ハウスのほうが、節税対策等に取り組むことにより、より効率的な経営を行っていることが分かります。
社員数は2社とも順調に増加、時価総額は約1.4倍差、物件管理戸数は積水ハウスがリード
社員数は大和ハウス工業が4万7,133人、積水ハウスが2万7,397人と、2年前の同様の調査よりも着実に社員数を増やしています。両社の差は前回調査と変わらず、約1.7倍差となっています。
参考サイト
時価総額は、ダイワハウス工業は、コロナ前は2兆円を越えていましたが、コロナを境に大幅に株価が低下、2020年9月の段階でもまだ2兆円まで回復できていません。売上高は過去最高だったものの、今後、コロナのダメージが出てくることが投資家に懸念されているようです。積水ハウスも同様にコロナで株価が低下していますが、大和ハウス工業ほど大きな下落幅ではなく、昨年2019年4月の時点より時価総額は微増しています。
賃貸住宅の管理戸数は、積水ハウスが63万9,780件と、大和ハウス工業の1.1倍となっています。この差は前回調査と同様で、ハウスメーカーの両雄が、2年前から1歩も譲らない戦いを続けていることが分かります。今後は積水ハウスがこの差より広めるのか、それともダイワハウス工業の逆転があるのか注目されます。ウィズコロナ社会に求められるサービスや家づくりを、消費者に提供できるかどうかにかかっているといえるでしょう。