不動産テック企業 資金調達額ランキング 2020
国内の不動産テック企業37社(※)を対象に、第三者割当増資や金融機関からの融資などによって得た資金調達の総額を高い順にランキングしました。不動産とITを組み合わせた不動産テックは、コロナ時代のリモートワークに不可欠なため、高い関心を呼んでいます。併せて、2019年に海外の不動産テック企業が行った大型資金調達ランキングについても紹介します。(リビンマガジンBiz)
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※注1=編集部基準
集計方法
・企業公式サイト、プレスリリース、新聞、調査会社などの報告を元に作成
・公開されている調達額の合計をランキング化
・日本の国内企業限定
・2020年8月12日時点の集計
画像=写真AC
資金調達総額50億円突破! 過去1年に35~40億円を調達した不動産テック企業は2社
1位はリノベるで、資金調達額は53億円でした。リノベるは、中古マンションのワンストップリノベーションプラットフォーム「リノベる。」を手掛けています。同社は独自のリノベ向き物件情報ネットワークを構築しており、消費者は好みのエリアを選び、コストを抑えつつ、間取りも内装も自由にカスタマイズした住まいを入手できます。
リノベるは2020年11月18日に、シリーズEラウンドにおいて総額40億円規模の資金調達を行いました。同社はこれまでに2,800組を超えるユーザーにリノベ住宅を提供しています。コロナ禍で地方都市への人口分散化が見込める中、費用を安く抑えて自分好みの家に住めるリノベ事業の需要は高まりそうです。
2位はフォトシンスで、資金調達額は50億円となりました。フォトシンスはクラウド型鍵管理システム「Akerun」を開発・運営しています。既存のドアに後付け可能な装置で、物理的な鍵を使わずに、普段使っているスマホや社員証、交通系ICカードで施錠・解錠ができます。さらにはクラウド上で入退室履歴の確認や、一定期間のみ鍵を使えるようにするといった設定も可能です。
フォトシンスは2020年8月4日、農林中央金庫、NTTドコモ・ベンチャーズなどを引受先とする第三者割当増資と、銀行等の融資を合わせて35億円の資金調達をしたと発表しました。累計調達額は50億円となります。Akerunは、非接触型の鍵サービスであり、また入退室管理がリモートで可能なため、これからの時代にピッタリのシステムです。コロナ禍を追い風にさらに業績を伸ばしそうです。
総額10億円以上を集めた不動産テック企業は10社となりました。3位以下は以下のようになっています。
2019年の海外不動産テック企業資金調達ランキングTOP5
それでは、2019年に行われた海外の不動産テック企業の資金調達額TOP5についても紹介します。
2019年海外不動産テック企業資金調達ランキングTOP5
1位は去年に引き続きコワーキングスペース運営のWeWorkで、115億ドル(約1兆2,242億円)という巨額の融資を日本のソフトバンクより受けています。
参考サイト
2017年よりソフトバンクからの融資を受けているWeWorkですが、企業統治上のトラブルにより2019年9月に上場廃止に追い込まれるなど、経営危機に陥りかねない状況でした。しかしソフトバンクがさらに1兆円もの巨額の支援を申し出ました。
ソフトバンクは自動車配車アプリUberやWeWorkなどの企業への投資事業の評価損により、赤字転落となり、日本でも大きな話題となりました。同社の今後のかじ取りに注目が集まっています。
2位はレンタルオフィス運営のKnotelで、4億ドル(425億円)でした。アメリカにおいてはWeWorkの競合ともいわれる同社ですが、複数会社が同一空間をシェアするコワーキングスペースではなく、家具付きの短期レンタルオフィスに近い事業内容となっています。
2位タイの4億ドル(425億円)となったのは、戸建住宅購入・販売プラットフォームのKnockです。同社は今アメリカで大流行中の「iBuyer」という、ITテクノロジーを活用して売り手から不動産を直接買い取り、転売するビジネスで成功しています。
アメリカでは、2019年ごろから、ユニコーン企業(時価総額1,000億円以上の未上場会社)が上場しても株価が上がらないという現象が起きていました。今後はコロナの影響も加わり、海外の不動産テック企業に対する投資は、さらに先を読むことが難しくなっていきそうです。
不動産テック企業 資金調達額ランキング 2020
集計方法
・企業公式サイト、プレスリリース、新聞、調査会社などの報告を元に作成
・公開されている調達額の合計をランキング化
・日本の国内企業限定
・2020年8月12日時点の集計