不動産業界税負担の少ない企業ランキング

上場不動産企業108社(※)を対象に、2020年2月期までの純利益における税負担率を調査しランキングしました。併せて、税負担が特に低い企業についてはその理由と、大手デベロッパー6社の税負担率、上場不動産業界全体の税負担の傾向も考察します。国際的に見て税負担率が高いとされる日本企業ですが、不動産業界においてはどの程度の負担割合なのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

集計方法

・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計

・連結決算の場合は連結の数値を記載

・税負担率は、損益計算書の「法人税等合計」÷「税金等調整前当期純利益」で算出

・当期純損失となり、マイナスになっている会社は調査対象外とした

画像=写真AC

税負担率10%以下の上場不動産会社は3社 1位の理由は繰越欠損金



 

1位はエコナックホールディングスで、税負担率はわずか3.0%でした。同社は不動産の売買・賃貸事業のほか、温浴施設「テルマー湯」の運営、刺繍レースの企画販売なども行っています。

エコナックホールディングスは2015年、2016年と経常損失を発生させており、繰越欠損金が発生していたことが、税金が格安となった原因とみられます。繰越欠損金が発生した場合、課税所得から繰越欠損金を控除できる税制上の仕組みがあることからこの負担率となりました。

2位は青山財産ネットワークスで、税負担率は10.7%でした。同社は個人投資家や企業オーナーに対して財産コンサルティングを行っており、2019年12月期には創業以来最大の売上高を記録するなど好調です。海外進出にも積極的で、シンガポールやアメリカ、インドネシアなどに子会社を持っています。

青山財産ネットワークスは、不動産のオーナーの税負担を軽減するためのコンサルティングを行っておりますので、自社の節税対策についても積極的に取り組んでいると考えられます。

3位はランドで、税負担率は10.9%でした。ランドは不動産売買や太陽光発電所などの再生可能エネルギーへの投資事業を行っています。ランドは2019年2月期において、会社単独の決算で経常損失が発生しており、繰越欠損金があったことが税負担軽減につながったと考えられます。

税負担率20%未満の会社は以下の通りとなっています。

 

 

 

不動産業界全体の傾向と、大手不動産会社6社の税負担率

今回調査した上場不動産企業の平均的な税負担率は約33%となり、多くの企業が当期純利益のうち三割超を税金として納めていることが分かりました。

それでは、三井不動産や三菱地所など、大手デベロッパー6社の税負担率はどの程度なのでしょうか。

 

不動産業界時価総額ランキング1位、丸の内の大家さんとも呼ばれる三菱地所が28%と6社の中で最も低く、株価だけではなく節税対策においても優秀な企業であることがわかりました。

6社中5社が28~32%の範囲内に収まっていますが、東急不動産ホールディングスのみ40%近い税負担率となっており、今後はどのように税負担率を軽減していくかが経営課題となりそうです。

不動産業界税負担の少ない企業ランキング

集計方法

・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載
・税負担率は、損益計算書の「法人税等合計」÷「税金等調整前当期純利益」で算出
・当期純損失となり、マイナスになっている会社は調査対象外とした

不動産業界税負担の少ない企業ランキング

集計方法

・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計

・連結決算の場合は連結の数値を記載

・税負担率は、損益計算書の「法人税等合計」÷「税金等調整前当期純利益」で算出

・当期純損失となり、マイナスになっている会社は調査対象外とした

 
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