上場不動産会社 自己資本比率が高い企業ランキング 2020
上場不動産企業112社(※)を対象に、2020年2月期までの自己資本比率をランキングしました。自己資本比率は事業資金のなかの自己資本の比率を示し、高いほど安定しており、低いと借り入れに依存した経営となります。大手デベロッパー6社や、上場企業全体の自己資本比率についてもあわせてご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
集計方法
・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載
画像=写真AC
自己資本比率30%以上の不動産会社は6社
1位はラ・アトレで、自己資本比率は35.81%でした。ラ・アトレは近年「アウトレット・マンション」とも言われている、新築マンションを他社から買い取り、インテリアなどの付加価値をつけて販売する事業などに取り組んでいます。
同社はディベロップメント事業も行っていますが、比較的小規模のマンションが中心です。また、他の事業も中古マンションをリノベーションして再販売するなど、高額の借り入れをせずとも展開できる事業を中核にしています。こうした事業形態が、高い自己資本比率の理由と考えられます。
2位はカチタスで、自己資本比率は34.26%でした。カチタスは中古住宅の仕入れ、リフォーム、販売を一括して行っています。累計販売件数5万件超という実績から蓄積したノウハウをもとに、スケールメリットを生かしたリフォームを行っており、効率の良い安定経営につながっていると考えられます。
3位はAMBITIONで、自己資本比率は32.78%でした。AMBITIONは住居用不動産を家賃保証付きで借り上げ、消費者に賃貸するサブリースをメインとして、おもに2~30代の若い世代をターゲットにした住まいの提供を行っています。
1~3位に共通するのは、不動産会社ではあるものの、ディベロップメント事業がその中核とはなっていないことです。やはり、高価な不動産を一から企画・開発するためには、相応の借り入れが必要になるためでしょう。
一般的に、企業の自己資本比率は40%を超えると安定経営であるとされています。しかし、今回の調査では上場不動産企業でも自己資本比率が4割を超える会社はありませんでした。不動産会社の場合は、自己資本比率30%を超えれば、特に安定した企業といえるでしょう。
上位3社のほか、自己資本比率3割以上の会社は以下の通りとなっています。
メジャー6社の自己資本比率と、業界全体の傾向
それでは、不動産業界の大手デベロッパーとして規模と実績を誇る、いわゆるメジャー6社の自己資本比率はどうなっているでしょうか。
売上高業界第一位の三井不動産や、時価総額第一位の三菱地所が7%台と、自己資本比率は高くないことが分かります。逆に、信頼性が高い大手デベロッパーだからこそ、多額の借り入れを行って大規模な事業を展開できるともいえます。
それでは、不動産会社の自己資本比率は、どの程度であれば安定した企業といえるのでしょうか。今回集計した112社全体の自己資本比率の平均は11.23%となっています。不動産会社選びの一つの指標としては、10%という数値が目安になるかもしれません。
上場不動産会社 自己資本比率が高い企業ランキング 2020
集計方法
・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載
上場不動産会社 自己資本比率が高い企業ランキング 2020
集計方法
・2020年2月期までの企業の決算書・有価証券報告書より集計
・連結決算の場合は連結の数値を記載