不動産業界売上高ランキング 2020年4月集計
上場している不動産会社116社を対象に、2019年12月期までの売上高をランキングしました。各社の前年期の売上高、および前年期比についてもご紹介します。財閥系不動産会社が強い日本の不動産業界において、2019年に売上高にみられた変化を振り返ります。
集計方法
・2019年1月期から2019年12月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・連結発表の企業は、連結数値で集計
・スター・マイカ・ホールディングスは2019年 6月に持株会社体制となったため、前年期データは無し
財閥系大手不動産会社3社は安定 トップ10企業は全て売上増
ランキング1位は三井不動産(売上高1兆8,611億9,500万円)、2位三菱地所(売上高1兆2,632億8,300万円)、3位住友不動産(売上高1兆132億2,900万円)で、この3社のみが売上高1兆円超えを記録しました。昨年、一昨年のランキングと変動はなく、財閥系不動産会社の変わらない強さを見せつける結果となっています。3社とも前年比売上は106%~107%と、売上増加率においても足並みがそろいました。
参考サイト
「上場不動産会社 売上高ランキング【2019年4月集計版】」
売上高ランキング4位から10位まではこのようになっています。
4~6位までに順位変動はありませんが、オープンハウス(売上高5,403億7,600万円)の前年比138%増は上位10社の中でも特に目立つ増加率となっています。同社は1997年に新築一戸建住宅の売買仲介会社としてスタート、現在では戸建を中心にマンションや収益不動産事業などを営んでいます。平成創業の不動産会社の中でも成長著しく、売上においても老舗不動産会社に並びかける勢いとなっています。
7位のヒューリック(売上高3,572億7,200万円)も今期は124%と、売上を大きく伸ばしました。同社は昭和32年創業と歴史は浅、不動産事業のほか、保険や人材関連事業などを幅広く行っています。このほかの上位10社も、すべて売上を増加させる結果となりました。
不動産業界全体では売上好調 一方で格差広がる
今期の調査対象会社の中で最も前年比売上率が高かったのはアスコットで、前年期売上高1,045億2,000万円から、今年度は売上高2,102億円と、売上倍増(201%)を記録しました。同社はデザイン性に特化した不動産事業を首都圏で行っていましたが、2018年10月には福岡の会社の100%株式を取得し、さらなる投資エリアの拡大をはかっています。売上高増加率が200%超を記録したのはこの1社のみとなりました。
116社の売上高合計は10兆8,531億6,500万円で、前年期の9兆8,778億1,000万円と比べて110%の売上増となりました。
不動産業界のムードには好調さが感じられる一方で、売上減となった企業は116社中27社となり、調査対象会社全体の23%が減収となっています。前年のランキングでは、売上減は106社中20社で19%でしたので、ランキング上位の会社との格差が広がっていることが窺えます。こうした格差の背景には、2018年末の世界的な株価下落に大きく影響されなかった企業と、売上に響いた企業とがあるためと考えられます。
来期のランキングには、2019年10月の消費増税の影響に加えて、コロナウィルスによる世界的な経済活動の低下による不況がデータとして現れてくるでしょう。リーマンショックを超える未曽有の大災害が、どの程度不動産業界に打撃を与えるのか、数字の変動に注目が集まっています。
不動産業界売上高ランキング 2020年4月集計
集計方法
・2019年1月期から2019年12月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計
・連結発表の企業は、連結数値で集計
・スター・マイカ・ホールディングスは2019年 6月に持株会社体制となったため、前年期データは無し