2000年代 市場が評価した不動産会社 経営者ランキング
上場不動産企業のうち、10年以上同一の経営者が代表を務めている44社(※)について、2010年2月~2020年2月の10年間で株価を大きく増加させた会社、及び経営者をランキング形式でご紹介します。リーマンショック以後、優れた経営手腕が市場にも広く認められた不動産企業トップは誰なのでしょうか。
※注=編集部基準
集計方法
・10年前より上場しており、過去10年間同一の経営トップが代表権を持っている会社を集計
・2010年2月時点の株価より、2020年2月時点の株価が何倍になったかをランキング
・過去10年に株式分割を行った会社は「2010年2月株価」の欄の数値を赤で表示、株式分割後と比較できるよう調整した値を「2010年2月株価(調整値)」の欄に掲載
10年前より会社の株価を10倍以上にした経営者は3人!
1位はシノケングループの篠原英明代表取締役社長で、会社の株価は10年前に比べて43.18倍にもなりました。シノケングループは投資用アパート・マンションの企画・開発・販売を主軸に、賃貸住宅の管理事業やゼネコン事業などを幅広く行っています。
社長の篠原氏は、1990年のシノケングループ設立当初からの代表取締役で、現在では日本全国で事業を展開するほか、中国やインドネシア、シンガポールにも進出を果たしています。同グループの有価証券報告書には「事業等のリスク」として、篠原代表の経営手腕への依存を挙げているほどで、投資家だけはなく企業内部からも厚く信頼されています。
2位はディア・ライフの阿部幸広代表取締役社長で、会社の株価を10年で20.97倍に増加させました。ディア・ライフは不動産の企画・開発の他、不動産業界向けの人材派遣・人材紹介などを行っています。
阿部幸広社長も同じく、設立当初からの経営トップです。2004年の開業後、わずか2年9カ月で上場を果たし、その後も2015年に東証一部に上場するなど、辣腕ぶりをいかんなく発揮しています。また、セルフストレージ事業を営む上場企業であるパルマの会長も兼任しています。
3位はサンフロンティア不動産の堀口智顕代表取締役社長で、過去10年で会社株価を10.94倍にしました。サンフロンティア不動産は、既存のオフィスビルを機能的でデザイン性の高いビルに生まれ変わらせるリプランニング事業や、既存ホテルの再生、新規ホテルの開発などを行っています。
堀口社長も1位2位と同じく設立当初からの社長で、創業当時は31歳でした。現在はスカイコートホテルやおけさ観光タクシーの社長も兼務しています。「動機善なりや 私心なかりしか」を座右の銘に、利他主義や正しさを貫くこと、チャレンジ精神を従業員の方針とし、更なる事業発展を目指しています。
株価がこの10年で5倍以上になった会社と、経営トップは以下のようになっています。
2008年のリーマンショック後の落ち込みののち、不動産業界全体の景気は緩やかに回復していきました。そのため、経営者が同一の企業のほとんどは、10年前よりも現在の方が株価が上昇しています。今後は2020年の東京オリンピック後も見据えた舵取りが求められ、経営者の手腕がさらに試されそうです。