不動産業界 有形固定資産ランキング 2019
不動産業116社(※)を対象に、所有する有形固定資産の合計額をランキングしました。有形固定資産とは、会社が土地や不動産などの資産をどの程度所有しているのか示す指標で、不動産業種では会社の安定性を判断する材料として特に重要です。(リビンマガジンBiz編集部)
集計方法
・2018年5月期から2019年4月期までに公表された企業の有価証券報告書に記載されている有形固定資産の合計額を集計
・連結決算の場合は連結数値を集計
有形固定資産3兆円越えの不動産会社は3社!
1位は三菱地所で、有形固定資産の合計額は4兆880億8,400万円です。三菱地所は業界第2位の財閥系総合不動産企業で、東京・丸の内を中心に数多くの不動産を所有し、ビル賃貸をはじめとした多角的な事業を行っています。丸の内エリアは元々、1890年に三菱社が明治政府から購入したもので、近年、無機質なオフィス街から変貌を遂げ、ショッピング客や観光客にも人気の高い街となっています。
有形固定資産の内訳としては土地が2兆1,057億9,700万円、建物および建築物が1兆1,837億1,800万円(純額)となっています。今回の調査において、全上場不動産会社の中で、三菱地所のみが4兆円を突破しており、同社の経営基盤の安定性を感じさせます。同社は2018年1月実施の前回調査においても1位となっていました。
参考サイト
2位は三井不動産で、有形固定資産総額は3兆4,303億2,600万円です。三井不動産は東京・日本橋に本社を置く国内第1位の不動産会社で、日本橋の街づくり計画である「日本橋再生計画」や、六本木で開業した複合施設「東京ミッドタウン」などを手掛けています。
有形固定資産の内訳においては、土地が2兆999億7,100万円と3兆円近くにのぼり、土地所有額に限れば三菱地所を上回っています。前回調査からは住友不動産を抜いて2位となりました。
3位は住友不動産で、有形固定資産総額は3兆3,703億5,300万円でした。住友不動産は住友グループに属する財閥系不動産会社で、オフィスビル「住友不動産六本木グランドタワー」や、トリプルタワーマンション「シティタワーズ東京ベイ」などを手掛けています。
新宿区西新宿に本社を置き、オフィスビルの賃貸業を中心に好調を維持しています。最近では、東京メトロ・都営地下鉄「白金高輪」駅徒歩 3 分の好立地において、第一種市街地再開発事業を進めています。住宅1,247 戸を供給する大規模複合開発「SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)」を着工、建物完成は 2022 年 12 月を予定しています。
ランキングトップ10位と不動産上場企業全体の傾向
続いて、ランキング4~10位までをご紹介します。
画像=リビンマガジンBiz編集部
4位ヒューリックと5位東急不動産ホールディングスまでが有形固定資産総額1兆円を突破しています。土地建物の価格を反映し、東京都心で事業を展開する企業が上位を占める結果となりました。有形固定資産額が1,000億円を超える企業は116社中13社で、100億円を超える企業は33社となりました。
不動産企業は、所有する土地やビルの需要がメイン事業の業績と深くかかわっています。そのため、人気の高い地域に多くの有形固定資産を持っている企業は、投資家からも高く評価されます。売上高では三井不動産がダントツの業界1位ではあるものの、人気の丸の内エリアを手掛ける三菱地所が有形固定資産総額1位となっており、この2社が業界の双壁とされているのも頷けます。