不動産業界お金持ち企業ランキング2019
上場不動産業種116社（※）を対象に、現金及び現金同等物の期末残高を高い順にランキングしました。現金や、いつでも出入金できる普通預金や当座預金、換金が容易にできる短期投資などの現金同等物を多く所有しているのはどの不動産会社なのでしょうか。（リビンマガジンBiz編集部）
※注＝編集部基準
画像＝写真AC
集計方法
・2018年3月期から2019年2月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・各企業の「現金及び現金同等物の期末残高」より集計
・連結決算の場合は連結数値を集計
現金及び現金同等物の期末残高1,000億円以上の不動産会社は4社！
1位は三菱地所で、現金及び現金同等物の期末残高が2868億5,900万円でした。三菱地所は財閥系の大手デベロッパーで、三井不動産と双壁をなす総合不動産会社です。東京の千代田区丸の内を基盤に、オフィスビル・商業施設の開発や賃貸などを行うほか、マンション・住宅販売にも定評があります。
三菱地所の現金及び現金同等物の期末残高は、前年同期の2433億4,100万円から435億1800万円増加しています。前回の同様の調査の際には2位となっていた三菱地所ですが、2018年度は営業活動により2933億3,800万円の資金の増加（前年度比プラス1248億1,000万円）があったことなどから1位になりました。
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2位は住友不動産で、現金及び現金同等物の期末残高は2620億4,500万円となりました。住友不動産は三菱地所と同じく財閥系の大手総合不動産会社で、都心のオフィスビルを中心とした不動産賃貸の他、大規模開発、「新築そっくりさん」という独自の住宅リフォーム事業などを手掛けています。
住友不動産の現金及び現金同等物の期末残高は、前年同期から58億9800万円マイナスとなりましたが、事業規模を考えると、通常の変動幅の範囲内と言えるでしょう。財閥系企業の安定感と、経済力を数字ではっきりと示す結果となりました。
3位はオープンハウスで、現金及び現金同等物の期末残高は1189億7,800万円でした。オープンハウスは都心を中心に、戸建て住宅や分譲を手掛けており、住宅業界においては特異な製販一体型の事業を運営しています。
現金及び現金同等物の期末残高は金額こそ1位の三菱地所、2位の住友不動産の半額以下ではありますが、非財閥系の独立系不動産会社で、安定的な家賃収入を稼ぎ出す賃貸オフィスなどの基盤がない企業であり、1997年に事業をスタートした創業20年余りの会社が3位となったのは驚くべきことです。前期の残高と比べても280億6,800万円と増加しており、事業の好調さが推し量れます。
4位は三井不動産で、現金及び現金同等物の期末残高が1007億800万円でした。三井不動産は業界最大手の財閥系デベロッパーです。オフィスビルや商業施設の賃貸、住宅分譲、ホテル経営やロジスティクス、コンサルティング、海外進出等、事業分野は多岐にわたります。
現金及び現金同等物の期末残高は、かろうじて1000億円の大台に乗りましたが、他の財閥系デベロッパーとは大きく差を開けられる結果となりました。前年同期からは478億3,800万円のマイナスです。有価証券報告書によれば、販売用不動産の取得や、有形及び無形固定資産の取得による減少で、将来的な成長を目指しての前向きな投資行動による減少でした。
お金持ち企業上位10社と、上場不動産会社全体の傾向
続いて、現金及び現金同等物の期末残高ランキング5位～10位までをご紹介します。
7位のイオンモールまでは、基盤となる会社の創業が古い老舗企業ですから、1990年代創業のオープンハウスが三井不動産を押しのけて3位となっているのが特に目立ちます。
調査対象とした116社全体の平均値は168億3,900万円で、前年度よりも12億4,300万円と、少しアップしています。アベノミクスの緩やかな景気回復路線が継続していることが、現金及び現金同等物の期末残高からも見てとれる結果となりました。
