住宅建設業界広告宣伝費ランキング
上場建設業企業のうち、住宅建設会社29社(※)を対象に、広告宣伝費が高い企業をランキング形式で紹介します。レオパレス21の違法建築問題などで揺れる住宅建設業界ですが、広告宣伝に費用をかけている企業や、業界全体の広告宣伝費割合を考察します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
集計方法
・2018年2月期から2019年1月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・連結決算の場合は連結の数値を集計
・「広告宣伝費」「販売促進費」のどちらか一方のみが明示されている場合はその数値を採用、両方表示されている場合は広告宣伝費のみを集計
広告宣伝費100億円以上の住宅建設企業は3社、企業規模に比例
1位は大和ハウス工業で、広告宣伝費は347億5300万円でした。大和ハウス工業は戸建住宅、アパート、マンションを合わせた総販売戸数が国内第1位を誇ります。また、住宅以外にも商業施設建築、都市開発、海外進出にも意欲的です。
大和ハウスの前年の宣伝広告費は346億8200億円で、前年比プラス7100万円となっていますが、売上高が3兆7959億9200万という企業規模からみると、微増といえます。
2位は積水ハウスで、251億1900万円です。積水ハウスは戸建住宅販売戸数で長年1位を守っており、他にもマンションやリフォーム、都市開発も手掛けています。
積水ハウスは前年度266億3200万円から94%と、やや公告宣伝費をおさえる結果となりました。本年度は、業界全体としては広告宣伝費を維持、ないし控える傾向が見られます。積水ハウスは上位3社の中でただ1社、広告宣伝費を削減しています。
3位は飯田グループホールディングスで、133億2700万円です。飯田グループホールディングスは、戸建住宅やマンションの分譲販売、請負工事などを行っており、2017年度の戸建分譲住宅販売棟数は41,404棟と、国内の約30%にものぼります。
飯田グループホールディングスは前年比110%と、上位3社の中ではもっとも大幅に広告宣伝費を増加させています。
2018年2月に行った前回調査では、住宅建設業界の広告宣伝費は増加傾向にありました。
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しかし、今回の調査では、業界全体の広告費は前年度と比べ横ばいとなりました。各社が、宣伝広告費が拡大しすぎるのをおさえようとする傾向が見られます。ただし、施工不良問題で住宅業界を揺るがしたレオパレス21は、昨年比111%増の42億3500万円となっております。
なお、前回3位に入っていた大東建託は、本年度の調査では広告宣伝費を明らかにしておらず、調査対象外となりました。
広告宣伝費率が高い企業は?
続いて、売上における宣伝広告費割合が高い企業をご紹介します。
1位はナックで、6%でした。前回調査の7.2%よりは割合が減りましたが、引き続き高い広告宣伝費率となっています。ナックは戸建注文住宅の建築請負や分譲住宅の販売の他、宅配水「クリクラ」の製造・販売、ダストコントロール商品や害虫駆除器のレンタル・販売を行っています。ナックは住宅販売以外にもさまざまな分野で事業を展開しているので、多くの広告宣伝費が必要になったと考えられます。
2位はアールシーコアで、4.6%でした。アールシーコアはログハウスをはじめとする自然派個性住宅の企画・製造・販売を行っています。ログハウスブランド「BESS」の認知度向上やブランディングのために、多くの広告宣伝費用がかかっているようです。
最近ではコンテンツマーケティングや、ウェブサイトの検索機能を利用したネット広告に力を入れる企業が増えています。しかし、アールシーコアのログハウスのように、新ジャンルの開拓と確立を目指している企業にとっては、マスメディアや新聞広告などの従前からの宣伝方法が役に立つケースもあります。選択肢が増えた分、企業それぞれの戦略にあった手段を検討する必要があります。