上場不動産会社 売上高ランキング【2019年4月集計版】
上場している不動産業種の企業106社(※)の2019年1月期までの売上高をランキング形式でご紹介します。併せて前年度売上および前年同期比を算出しました。大手企業の売上高の変化や、上場企業全体の売上高の変動を考察します。(リビンマガジンBiz編集部)※注=編集部基準
集計方法
・2018年2月期から2019年1月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
・連結決算の場合は連結の数値を掲載
大手デベロッパー3社に順位変動はなく、売上高は堅調な増加
1位は三井不動産で、売上高は1兆7511億円1400万円でした。前年同期売上高1兆7044億円1600万円と比べて102.74%と少し増加しています。三井不動産は不動産業界トップの財閥系企業で、オフィスビルや商業施設の賃貸および住宅分譲を主たる業務としつつ、ホテル経営や海外事業も幅広く展開しています。
三井不動産は持続的な成長のためのグループ長期経営方針「VISION 2025」の中で「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」「グローバルカンパニーへの進化」を3つの柱としています。売上高増には海外事業の好調さが反映しており、経営方針に沿った事業展開がプラスに働いています。
2位は三菱地所で、1兆1940億4900万円の売上高となりました。前年同期の売上高1兆1,254億500万円から106.1%の増収です。三菱地所は三井不動産と並んで業界を代表する大手デベロッパーで、東京丸の内のビル・商業施設の開発や賃貸、マンションや戸建住宅の販売の他、海外進出にも積極的です。
2017年1月に竣工した大手町パークビルの収益をはじめとして、2018年3月末の空室率が1.87%と低いこと、他には海外事業や投資マネジメント事業も好調だったことから、確実に売上を増加させています。
3位は住友不動産で、売上高は9484億200万円でした。前年期同期から102.51%の微増です。住友不動産は財閥系不動産会社で、不動産賃貸の他、ホテル事業やイベントホール・会議室の賃貸、マンションや戸建て住宅の開発分譲等を手掛けています。
不動産賃貸事業の既存ビル空室率が4.9%と低いことや、完成工事事業部門において、建て替えの新システムである「新築そっくりさん」や注文住宅事業が好調なことから売上を伸ばしました。
上位企業3社ともに売上微増と、アベノミクスの緩やかな景気回復路線に乗って好調を維持していることが窺えます。今後は2018年末に起こった世界的な株価下落や、2019年10月に予定されている消費増税が、どのように売上に影響してくるかが注目されます。
ランキングトップ10と、不動産業界全体の売上増減傾向
続いて、ランキング4位から10位までの企業をご紹介します。
4位 東急不動産ホールディングス 売上高8661億2600万円 前年比107.13%
5位 野村不動産ホールディングス 売上高6237億6200万円 前年比109.49%
6位 オープンハウス 売上高3907億3500万円 前年比128.26%
7位 イオンモール 売上高2881億1100万円 前年比106.79%
8位 ヒューリック 売上高2875億1300万円 前年比99.27%
9位 東京建物 売上高2733億200万円 前年比102.37%
10位 リログループ 売上高2254億3700万円 前年比109.91%
6位オープンハウスが128%アップと大きく売り上げを伸ばした一方、ヒューリックが99%とわずかながら減収となっています。その他の企業は上位3社同様、微増となっています。
106社の売上高合計は9兆9207億3500万円で、前年期の9兆2520億2800万円と比べて107%の売上増となりました。2018年7月の前回調査と比べて、上場廃止などで調査対象会社には変動があったものの、売上増加率は同じとなっています。
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売上減となった企業は106社中20社となり、前回の19社から1社増えたものの、誤差の範囲ということができます。今後も不動産業界の売上高推移を慎重に見守る必要があるでしょう。
前年同期比の売上高上昇率が最も高かったのはRISEで、209.35%でした。これは保有不動産の売却による収益となっています。2番目に高かったのはLCホールディングスの198.3%となっています。不動産ファンド事業では当初の計画を達成できなかったものの、新たに始めた病院関連事業が好調で、大きく収益を伸ばす結果となりました。