上場している不動産企業104社(※)を対象とし、労働分配率(付加価値の額に占める人件費の比率)が低い順にランキング形式でご紹介します。労働分配率が低いということは、人件費をおさえながら効率よく利益をあげていることを意味し、経営体質の優秀さを計る指標となります。

※注=編集部基準

集計方法

・2017年12月期から2018年11月期までに公表された企業の有価証券報告書より集計

・人件費を売上総利益で割って労働分配率を算出

・「人件費」は、役員報酬の総額に加え、「販売費及び一般管理費」のうち人件費に関する項目(給与手当、賞与、退職給付費用、法定福利費、厚生費等)を足して算出

・法定福利費、厚生費等のデータが公表されていない企業は、公表されている人件費関連項目費用を集計

・賞与引当金繰入額、役員退職慰労引当金繰入額等は人件費に含む

・支払手数料、支払報酬は人件費に含まない

・連結決算の会社は原則として連結会計年度における人件費の数値を採用、ただし役員報酬などの人件費が提出会社のデータしか公表されていない場合は提出会社の数値を採用

・人件費の総計を公表している企業はその数値を掲載

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労働分配率が7%以下の不動産会社は3社

1位は日本アセットマーケティングで、売上総利益が84億8500万円であるのに対し、人件費が4800万円となり、労働分配率はわずか0.57%となっています。なお、日本アセットマーケティングは連結損益計算書内で人件費を公表しておらず、単独でのみ公表していたため、こちらは単独の数値となっています。

日本アセットマーケティングは、ドンキホーテホールディングスの連結子会社で、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などの保守・メンテナンス等の管理運営、テナント賃貸などを行っています。

日本アセットマーケティングは販売費及び一般管理費そのものがとても少なく、7億2600万円と売上総利益の8%程度となっています。経常利益率の高さランキングでも1位になるなど、経営効率が非常に高い会社であることがわかります。

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2位はオープンハウスで、売上総利益702億5100万円に対し、人件費が46億3100万円と、労働分配率は6.59%となっています。オープンハウスは主として関東や名古屋で居住用不動産の販売や仲介、戸建住宅やマンションの開発、注文住宅の開発請負などを行っています。

オープンハウスは、6期連続で過去最高の売上高を更新し、売上総利益が前期比25.2%増となるなど業績好調です。成長による人員増加に伴い、給与も6億3700万円増えていますが、労働分配率は30%以下であれば優秀とも言われていますので、非常に優れた経営体質といえます。

3位はゴールドクレストで、売上総利益195億6600万円に対し、人件費が15億3000万円となり、労働分配率は7.82%となりました。ゴールドクレストは首都圏を中心に、ハイグレードな新築マンションの企画や開発、分譲事業を手掛けています。

ゴールドクレストは少人数での効率経営が強みの会社です。有価証券報告書にて「人件費」という項目を公表しているため、正確な数値を得ることができました。正しいデータで労働分配率が10%以下となっており、経営体質の良質さが窺えます。

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労働分配率10%未満の不動産会社は11社 

続きまして、労働分配率が1桁となった会社をご紹介します。

4 アルデプロ 8.06%

5 ヒューリック 8.36%

6 ディア・ライフ 8.44%

7 ランド 8.47%

8 三菱地所 8.70%

9 サムティ 9.55%

10 THEグローバル社 9.69%

11 京阪神ビルディング 9.86%

調査対象とした企業104社の平均は22.12%でした。

ゴールドクレストのように人件費を明示しているケースは少なく、多くの有価証券報告書では法定福利費や厚生費等を公表していませんでした。そのため、集計した人件費は、実際の人件費より少ない金額になっていると考えられます。あくまでランキングは目安程度に考えてください。わかる人には、わかっていだけると思います。

労働分配率が低い企業は優秀とされる一方、労働分配率が高い企業は、それだけ利益を従業員に還元しているということでもあります。労働分配率が高いことが悪いことではなく、それぞれの企業の方針に則した割合で、適切な労働分配率が実現していることが重要です。

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