不動産企業109社(※)のうち上場企業107社を対象に、2017年12月~2018年12月の1年間に適時開示された情報の数を、会社毎にランキング形式でご紹介します。適時開示数の多さは、会社の業務・運営・業績に関し、投資判断に大きな影響を与えるような出来事が数多くあったことを意味します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注=編集部基準
(画像=Pixabay)
集計方法
・調査日:2018年12月18日~20日
・「大京」は調査時点で具体的な上場廃止日が未定であったため対象に含む
適時開示数、年間50件以上の不動産会社は4社!
1位はディア・ライフで、投資判断上重要な会社情報の適時開示数は82件でした。ディア・ライフは東京を中心にした投資用マンションの開発や、不動産ファンドの運営、不動産業界向けの人材派遣事業などを営んでいます。
ディア・ライフは近年大きく業績を伸ばした会社の一つで、先日ご紹介した「アベノミクス以降売上が大きく伸びた不動産会社ランキング」で2位に入っています。
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業績の好調さを受け、適時開示情報も、マンション開発用地や収益不動産取得に関する告知が25件となっています。その他の適時開示としては、人事に関する知らせや、新株予約権の発行や行使に関する告知が頻繁に出されています。11月9日の「平成30年9月期決算短信」では、18年9月期の連結経常利益が29.3億円(前期比46.9%増)となり、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を更新したことを発表しています。
2位は明豊エンタープライズで、会社情報の適時開示数は71件となりました。明豊エンタープライズはスペインの観光地をイメージした投資用賃貸アパート「MIJAS(ミハス)」ブランドや、断熱工法のエコロジーマンション「シェルゼ」シリーズを展開するほか、アドバイザリー事業などを営んでいます。
適時開示情報としては、新規事業用地購入や収益用不動産の取得が31件、収益用不動産やたな卸し資産などの譲渡に関する告知が18件となっています。高額の不動産や資産の取得・売却が頻繁に行われたため、情報発信の数が多かったと考えられます。
3位はアルデプロで、適時開示数は65件でした。アルデプロは中古マンションや社員寮、
ビル、商業施設などを再生・販売する「不動産再活事業」を全国的に展開しています。
アルデプロは4月に、財務改善のため、債権者に依頼して「債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)」実行しています。その後、業績回復に向けて販売用不動産の売却活動を行いましたが、平成 30 年 7 月期の通期業績が未達となり、責任をとる形で代表取締役を含む役員の交代が行われました。こうした経営状態を説明する必要があり、適時開示数が多かったと考えられます。
4位はグッドコムアセットで、適時開示数は63件となりました。グッドコムアセットは主に電話勧誘の手法を用いて、投資用ワンルームマンションを販売しています。また、不動産に関するコンサルティングや損害保険代理店業務も行っています。
グッドコムアセットは4月24日に東証一部上場企業となりました。12月12日の「2018年10月期決算短信」では、18年10月期の連結経常利益が15.6億円(前期比91.0%増)となったことを発表しています。適時開示情報も26件が「販売用不動産の購入」に関する告知で、業績の好調ぶりが窺えます。
適時開示数トップ10の企業とその傾向は?
続いて、適時開示が多かった企業を5位から10位までご紹介します。
5位 フージャースホールディングス 48件
6位 ハウスドゥ 45件
6位 シーアールイー 45件
8位 サムティ 43件
8位 青山財産ネットワークス 43件
10位 野村不動産ホールディングス 42件
適時開示数第1位は業績好調のディア・ライフとなりました。
その一方で、先ほどご紹介した「アベノミクス以降売上が大きく伸びた不動産会社ランキング」や、「不動産業界 経常利益率ランキング【2018年5月期 最新版】(/column/real-estate-ranking/25354/)」で1位となった、日本アセットマーケティングの適時開示数はわずか9件で、105位でした。
必ずしも、業績が好調な企業であれば適時開示数が多いというわけではなく、高額な不動産の購入・売却などが多かった企業が上位を占める結果となりました。
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