不動産会社109社(※)を対象に、役員の平均報酬額と、社員平均年収の差をランキング形式にて発表します。(リビンマガジンBiz編集部)
※編集部基準
前回集計した「不動産業界 役員と社員の収入差ランキング 2017年版」もご参考ください。
(画像=写真AC)
集計方法
・2017年8月期~2018年7月期までに公表されている各企業の有価証券報告書より集計
・対象は取締役(監査等委員会設置会社の監査等委員も含まず)、執行役の報酬と従業員の平均年間給与
※監査役設置会社の監査役や社外取締役の報酬額は除く
・役員報酬の内容は、基本報酬、ストックオプション、賞与などを合算
・役員報酬の合計を対象となる役員の員数で割り、一人当たりの平均役員報酬を算出
・平均役員報酬が、従業員平均年間給与の何倍になるのかをランキング化
1位の企業は収入差47倍超!前年期から7倍増えた役員報酬
今回集計したランキングと、前回の「不動産業界 役員と社員の収入差ランキング 2017年版」を比べると、上位企業の顔ぶれはほぼ変わらないなか、プロスペクトは役員平均報酬4億3,734万円、従業員平均年収914万円で収入差は47.9倍と前回8位から大きく順位を上げ1位となりました。
前年期の同社は、役員報酬5,934万円、従業員平均年収665万円で収入差は8.9倍で、役員報酬が7倍以上増額しています。
同社の有価証券報告書によると、役員報酬の対象者は2名おり、代表取締役社長であるカーティス・フリーズ氏が7億305万円、田端真人代表取締役常務が1億7,162万円であったことが分かります。2010年よりプロスペクトの代表取締役社長に就任しているカーティス・フリーズ氏、2011年より役員となった田端真人氏は、今回いきなりの役員報酬増額に踏み切ったようです。
また、他社の有価証券報告と比較すると、役員の報酬額を決定する方針に違いがあることも分かりました。
例えば、9位の三井不動産の場合、第106期有価証券報告書にある「役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法」は以下のとおりです。
“取締役報酬につきましては、第106回定時株主総会で決議された総額の範囲内で決定する基本報酬、短期 インセンティブとして各期の業績等を総合的に勘案したうえで株主総会で決議される取締役賞与、中長期インセンティブとして第95回定時株主総会で決議された総額の範囲内で決定するストックオプションという構成としております。<中略>取締役の報酬については同委員会に諮問のうえ、取締役会にて決定いたします。”
一方、プロスペクトの「役員の報酬等の額の決定に関する方針」は下記です。
“当社は役員の報酬等の額の決定に関する具体的な方針は定めておりませんが、世間水準・業績水準・経営成績および従業員給与とのバランス等を考慮して決定することとしております。また、その決定方法は、株主総会で決定された年額報酬枠の限度内において、取締役報酬は取締役会の決議に従い、監査役報酬は監査役の決議により決定しております”
つまり、プロスペクトでは、株主総会で決定された年額報酬枠の限度内においては、具体的な方針がなく役員報酬額を決定することが可能であることが記されています。
「世間水準・業績水準・経営成績」といった言葉がありますが、同社は、今期売上高119億2,758万円(前年期-15億円)、経常利益-9億904万円(前年期比-14億円)と大きく減収しています。
業績と役員報酬が乖離していることから、不信感を持つ投資家も多いようです。
今回集計した109社の平均を見ると、平均役員報酬の平均は3,553万円、従業員平均年収の平均は673万円で、109社平均の収入差は約5.3倍でした。