前回の「不動産業界 お金持ち企業ランキング」とは反対に、上場している不動産企業106社(※)を対象に、負債の多い会社をランキング形式で紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注1=編集部基準
(画像=写真AC)
集計方法
・2017年3月から~2018年2月期までの期間で報告されている企業の決算書・有価証券報告書をもとに集計
・財務諸表にある負債合計(流動資産・固定資産を合算)を集計
財閥系・電鉄系大手が上位占める。上位6社の負債合計総額は約15兆円
1位は住友不動産で、負債合計は3兆9,409億円でした。そのなかでも有利子負債は3兆3,704億円となっており、前年より2,115億円以上増加しています。また、同社は「不動産業界 お金持ち企業ランキング」でも1位でした。
2位は三菱地所で負債合計は3兆7,167億円、3位の三井不動産は3兆5,138億円、4位東急不動産ホールディングス1兆6,208億円、5位野村不動産ホールディングス1兆993億円、6位東京建物1兆876億円と、大手財閥系・鉄道系が上位を占めていることが分かります。
いずれの企業も、大規模な都市開発を手がける企業です。地価の高い首都圏でのオフィスビル建設や商業施設の開発といった大規模なプロジェクトを次々とおこなっています。土地買収など先行投資から長期間かけて、資金回収するビジネスモデルのため負債合計が高くなる傾向があります。
上位6社の負債合計総額は約15兆円にものぼります。今回集計した106社の総負債合計は約21兆円、そのうちの70%以上が上位6社による負債合計であることも分かりました。
負債合計増加率TOP10 上位は投資系会社
また、前期と当期を比べて負債合計の増加率が高い企業10社を集計しました。
負債合計増加率TOP10
1位は九州を中心に不動産販売や建築請負を手がけるグランディーズで、3億円から11億円と4倍近く増加しています。同社は販売用不動産や投資用不動産の開発資金の一部を金融機関からの借り入れに依存しているため、売上の増加とともに負債も増加傾向にあります。また、建材費や人件費の高騰といった部分でもコストが発生しているようです。
2位のグッドコムアセットも投資用不動産販売がメインの企業です。負債は2倍近く増加しましたが、販売用不動産の仕入れに伴った長期借入金によるものが多い結果となりました。
3位のサンセイランディックも東京23区内での投資用ワンルームマンションを開発・販売を行っています。こちらも上位の他社と同様に事業拡大とともに負債が増えています。
不動産ビジネスに借り入れは付きものです。負債の多さが会社経営の不健全さにはつながりません。不動産会社の状態を見るためには、多面的な指標が必要でしょう。