上場している不動産企業106社(※)を対象に、期末時点の現金及び現金同等物の残高をランキング形式で紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
※注1=編集部基準
(画像=ぱくたそ)
集計方法及び解説
・2017年1月から~2018年1月期までの期間で報告されている企業の決算書・有価証券報告書を元に集計
・集計項目は、各企業の「現金及び現金同等物の期末残高」
現金及び現金同等物の期末残高とは?
今回集計を行った「現金及び現金同等物の期末残高」とは企業会計上では
1、現金
2、現金同等物
を指します。
現金とは、紙幣や硬貨などの現金を指します。
そして現金同等物とは、普通預金や当座預金といったいつでも出入金ができる預金や、預け入れをして3カ月以内の定期預金、換金が容易にできリスクが低い価格の変動が少ない短期投資を指します。
財務諸表のひとつである企業のキャッシュ・インとキャッシュ・アウトの流れを表示するキャッシュ・フロー計算書において、キャッシュ(お金)とは、この現金及び現金同等物の期末残高を指します。
この指標から、企業を個人に例えば、財布の中にすぐに使えるお金がたくさんあるといえるかもしれません。
上位を占めた財閥系大手 投資活動が活発
ランキングでは1位住友不動産、2位三菱地所、3位三井不動産と、財閥系大手が上位を占める結果になりました。
1位である住友不動産の現金及び現金同等物の期末残高は2,679億4,000万円でした。
同社の2017年4月期の期首及び期末のキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 約1,585億 (前期比+623億円)
投資活動によるキャッシュ・フロー 約-2,741億円(前期比-1,687億円)
財務活動によるキャッシュ・フロー 約1,979億円(前期比+1,530億円)
と、前年よりも820億円ほど増額しています。
キャッシュ・フローにおいて投資活動によるキャッシュ・フローのみがマイナスになっていることが分かります。これは事業の拡大や成長を目的とした投資を活発に行っていることを示しています。同社は、羽田空港付近に1,500室を超えるホテル(2020年竣工)を開発するなど、今後も成長を目指している企業と捉えることができます。
2位の三菱地所は、現金及び現金同等物の期末残高が2,433億4,000万円でした。
同社の2017年4月期の期首及び期末のキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 約1,685億 (前期比+327億円)
投資活動によるキャッシュ・フロー 約-3,272億円(前期比-962億円)
財務活動によるキャッシュ・フロー 約-49億円(前期比-3,141億円)となっており、前年よりも約1,700億円減額しています。
前年は4,123億円と、他社と比べてもダントツで現金及び現金同等物の期末残高をもっていましたが、1,700億円もの減額となってしまった理由は何でしょうか。
有価証券報告書によると、投資活動における有形固定資産の取得、財務活動における長期借入金の返済、社債の償還などが大きな要因となっていることが分かります。特に、投資活動を大規模に行っており、事業活動によって得られた営業キャッシュ・フローでは、まかなうことができない状態です。同社は海外不動産への投資を加速させています。2020年3月までには欧米のビルなどへ5,000億円もの投資を予定していると発表しています。
3位の三井不動産は、現金及び現金同等物の期末残高が1,485億5,000万円でした。前年と比べると約400億円増額しています。同社も、キャッシュ・フローを見ると、投資活動によるキャッシュ・フローが2,015億円となっており、精力的に投資活動を行っている事が分かります。
上位3社は賃貸ビルやマンションを多数所有しており、膨大な家賃収入が入ります。そのため4位に入ったオープンハウスの異色さが際立ちます。同社は住宅販売がおもな事業のため、毎月の住宅販売利益が多数あることがうかがえます。同社の好調さをあらわす結果かもしれません。