以前公開した「不動産業界 時価総額ランキング」につづき、東証1・2部、マザーズ、ジャスダックに上場している建設企業167社(※)を対象に、2017年11月30日時点の時価総額をランキングにて紹介します。時価総額は、そのときの会社の価値を表す指標という側面と、業界全体の時価総額はその業界の市場規模を知ることができる側面を持っています。(リビンマガジンBiz編集部)

※注:編集部基準

(画像=写真AC)

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■大手住宅メーカーとスーパーゼネコンが上位占める


1位の大和ハウス工業や、2位大東建託、3位積水ハウスといった住宅やアパート建築の大手企業や、4位大成建設、5位鹿島、6位大林組、7位清水建設などのスーパーゼネコンが、上位を占める結果になりました。

建設業界全体の時価総額は2017年11月30日時点で22兆7,277億円、上位10社の合計が11兆8,408億円と、全体の57%を占めています。

住宅建設市場に注目すると、これまでは相続税対策による賃貸住宅や貸家の建設が業績をけん引していたことがわります。しかし、2017年のアパートローンに対する金融引き締めが強くなったことや、相続税対策が一巡したことが市場の成長を足止めしているようです。

日本銀行によると、2017年度上半期(4~9月)の新規融資額は5兆3,564億円で、前年同時期と比べて9.5%減少しています。中でも、アパートローンは17.8%減の1兆5,776億円でした。

また、国交省の「住宅着工統計」によると、2017年7月の住宅着工数(貸家分類)は36,365戸と前年同月比-3.7%で、2カ月連続マイナスとなりました。2012年以降続いていた賃貸住宅・貸家建設の伸びが止まっています。

今後、賃貸住宅建設の市場は厳しい状況が続きそうです。

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■リーマン・ショック直後と比べる現在の建設業界


前述のように、住宅建設業界には一抹の不安がある一方で、建設業界全体は拡大しています。

世界的な金融危機であるリーマン・ショック後、全市場の時価総額が最も低い月末2009年2月27日の建設業界全体の時価総額は5兆1,448億円でした。同日の不動産業界全体の時価総額が6兆1,159億円だったことから、深刻な低迷に陥っていたことが分かります。官民ともに建設投資が減少し、多くのゼネコンが経営不振になり、大量の赤字受注を行う企業も相次ぎました。

2017年11月30日の建設業界全体時価総額は、当時と比べると+441%の22兆7,277億円です。同様に比較した全業種時価総額が+275%であることを考えると、大きく拡大した業界であることが分かります。

ひとつの要因として、2011年の東日本大震災にともなった震災復興需要があったことが挙げられます。東北地方に甚大の被害をもたらした東日本大震災は、官民の建築・建設需要を高めました。東北地方を中心に建築投資額や、建材費が増加したことによって建設業界に特需が生まれました。

また、2020年の東京五輪も大型の再開発の追い風になっています。都心の高層ビルや新国立競技場や、大型工事の施工は2018年~19年がピークになると考えられています。

東京五輪以降も、2027年を目指しているリニア新幹線の開通や、老朽化したインフラの整備など、建設需要は長く続きそうです。

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