「不動産企業 従業員一人当たり営業利益ランキング」に続いて、「住宅建設業界 従業員一人当たり営業利益ランキング」を紹介します。
上場している住宅建設企業37社(※)を対象に、従業員一人当たりの営業利益を算出しました。企業の資源である従業員がどれだけ成果を生み出しているかは、企業の実力を測るひとつの指標です。一人当たりの営業利益が高いほど、従業員の貢献度が高いことを表しています。(リビンマガジンBiz編集部)
※編集部基準
■従業員一人当たり営業利益ランキング上位を占める“飯田”
2位の飯田グループホールディングスとなんらかの関係がある企業が上位を占めました。飯田グループホールディングスは、2013年に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合して設立した会社です。
1位のファーストコーポレーションは、関東1都3県を中心としたマンション開発を行っています。主要事業である分譲マンション建設業では、主要取引先として飯田グループホールディングスのアーネストワンと一建設があり、この2社との取引は全体の売り上げの30%近くに上ります。
また、同社の株を11%保有している飯田一樹氏は、飯田建設工業(現:飯田グループホールディングス)の創業者である故・飯田一男の長男であることからも、飯田グループホールディングスと深い関係にある企業であることが分かります。
4位の関西を地盤とした戸建て分譲のファースト住建も、元飯田建設加古川支店がのれん分けで独立した企業です。
■営業利益効率が良いパワービルダー
また、飯田グループホールディングスとファースト住建に共通しているのは両社がパワービルダーであるという点です。パワービルダーとは、住宅を初めて取得する層に向けた低価格帯の戸建を分譲する建売住宅業者を指します。
ランキングでは、パワービルダーの営業利益効率が注文住宅企業に比べ良いことが顕著に表れています。
飯田グループホールディングスの売上総利益は2,147億円、営業利益を求めるために差し引く販売費・一般管理費は1,017億円で、その割合は47%でした。一方で、注文住宅がメインの31位タマホームは、売上総利益400億円に対し、販売費・一般管理費は361億円とその割合は90%にものぼります。
注文住宅企業は、住宅展示場の維持コストやサービス面での人件費の割合が高く、営業利益を圧迫する構図があります。
パワービルダーと注文住宅企業の営業利益に対する販管費割合比較
(画像=リビンマガジンBiz編集部)
建築業界では人手不足や、それに伴った従業員一人当たりの労務費の高騰が続います。注文住宅企業に比べて、パワービルダーは営業利益に貢献する従業員の割合が高い傾向にあります。
■実は供給数が多い飯田グループホールディングス
株式会社不動産経済研究所と株式会社市場経済研究所が発表した、「2016年度全国戸建供給ランキング上位10社」には、飯田グループホールディングスの名前がありません。
2016年度全国戸建供給ランキング上位10社(含アパート)
(画像=リビンマガジンBiz編集部)
※参考データ:不動産経済研究所・市場経済研究所「全国住宅・マンション供給調査―2018年版」
しかし、飯田グループホールディングスのグループ会社では、一建設9,652棟、飯田産業6,155棟、東栄住宅3,525棟、タクトホーム3,409棟、アーネストワン10,064棟、アイディホーム3,676棟と、グループ全体では36,481棟にものぼります。ランキング4位の実績です。
デフレムードが漂う日本では、低価格帯の戸建への需要が高く、同社が利益を伸長させていることが分かります。
■計算方法
調査対象企業
・上場している住宅建設企業37社(編集部基準)
2016年7月期~17年6月期までに報告されている各企業の決算書・有価証券報告書に記載されている営業利益を従業員数で割り算出しました。