以前発表した「不動産企業 30歳年収ランキング」に続いて「住宅建設業界 30歳年収ランキング」を紹介します。住宅関連の建設業を行っている上場企業35社(※)を対象に、従業員が30歳時点での予想年収を計算しました。(リビンマガジンBiz編集部)
※注1(編集部基準)
■連続増益企業が上位占める
ランキングの上位は、連続増益・増収した企業が大半の結果になりました。1位は大和ハウス工業で、海外事業や物流施設、賃貸住宅などの事業が伸長し連続増収です。2位の飯田グループホールディングスも好調な戸建て事業により最高益を更新しています。3位の長谷工コーポレーションも増益、4位の大東建託に関しても過去最高益でした。好調な事業の伸長が、年収に反映された結果になりました。
■人手不足による高騰する労務費
2017年7月に帝国データバンクが発表した「「人手不足倒産」の動向調査(2013年1月~2017年6月)」では、全業種を対象とした従業員の離職や採用難など、人手を確保できなかったことが原因で法的整理した企業のうち最も多かったのが建設業(全体の36.2%)となっています。
建設業界は、慢性化した現場職人不足の状態です。それに伴い、従業員を確保しようとする各企業の労務費の上昇がみられました。また、高齢化した従業員の退職給付費用などが利益を圧迫しています。
32位のサンユー建設などは、事業は堅調に推移しながらも資材費の高騰に加え、労務費の増加が利益を圧迫する構図が顕著になっています。
住宅建設ではありませんが、国土交通省が公表した「平成29年3月から適用する公共工事設計労務単価」は、全国の全11業種平均で18,078円(1日)でした。これは前年比で+3.4%、2012年と比べると+39.3%と、毎年増加しています。
今後、人材を確保するためにどれほどの労務費を確保することができるのかが、住宅建設業界での大きなテーマになっていくものと考えられます。
調査企業全体の30歳時点での平均予想年収は511万円でした。
対象企業全体の従業員の平均年齢は39.2歳でした。
■予想年収の算出方法
調査対象企業
・上場している不動産企業(編集部基準)
・従業員数50名以上
・グループ会社の場合、有価証券報告書で公表されている単体会社の平均給与で計算
・賞与を含んでいます
各企業が公表している有価証券報告書(2016年7月期~17年6月期まで)の従業員の平均年齢・平均年収データと、厚生労働省による「平成28年賃金構造基本統計調査」を基に計算しました。
「平成28年賃金構造基本統計調査」の業種「建設業」から、5年ごとの年齢階級別に支給される現金給与額を参考に賃金カーブを算出します。各企業の平均年齢・年収を、この賃金カーブに当てはめて算出しています。
【建設業】 従業員10人以上の企業規模における賃金カーブ(月収)
(画像=リビンマガジンBiz編集部)
※参照データ:「平成28年賃金構造基本統計調査」
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