上場している不動産企業85社(※)を対象に、従業員が30歳時点での予想年収を計算しました。あこがれの年収1,000万円以上の企業は1社のみでした。いったいどの企業だったのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)
※注1(編集部基準)
最終更新:2017年11月20日
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■1位のヒューリックは、業界唯一の1,000万円超
不動産企業 30歳年収ランキング1位は、賃貸ビル事業が主力のヒューリックでした。
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ヒューリックは、東京都内23区を中心とした賃貸オフィスビル事業が堅調に推移しています。それに加え、2017年には区分所有していた商業施設GINZA SIXを米ファンドに売却するなど、積極的に利益を増額し、過去最高益が続いています。そういった好調な業績の結果が、ランキングに反映されました。
「リビンマッチ人材紹介」のキャリアコンサルタントは「企業の内情を予想するには、年収の高低に加えて平均勤続年数にも注目するべき」と語ります。
総務省統計局が公表している「日本の統計2017」にある「主要職種別平均年齢,勤続年数,実労働時間数と月間給与額(平成27年)」によると、主要全業種における男女の平均勤続年数は9.3年でした。それに比べて、今回の調査した全企業の平均勤続年数は7.5年と低い傾向にあります。
「勤続年数が短く・30歳予想年収が高い企業、すべてに当てはまるわけではないですが、そういった企業にはごく一部の高給者と多くの薄給者という格差の構図があるのでは」とコンサルタントは予想します。
収入が低い従業員による期間の短い入退社が繰り返されることで、「平均勤続年数が低いながら高い平均年収」というデータができあがるというのです。
「もちろん、一概に勤続年数で判断することはできません。大量に新卒・中途を採用した企業は、当然ながら平均勤続年数は短くなります。こういった企業は今後さらに拡大していこうという意欲がある企業です。しかし、環境が厳しい営業職の大量採用・大量退職を繰り返す企業があることも事実です。逆にそういった会社で活躍できる人材は、ランキング上位の年収よりも高給なケースももちろんあり得ます」
逆に、勤続年数が長く30歳予想年収も高い、2位の三菱地所や3位の三井不動産といった財閥系や、4位の東急不動産ホールディングスといった老舗電鉄系の企業は、そういった格差は低いとの見方です。
「安定している大企業であり、給与が良い企業の勤続年数が長い傾向にあるのは当然ですね(前出したコンサルタント)」
調査企業全体の30歳時点での平均予想年収は538万円でした。
対象企業全体の従業員の平均年齢は38.1歳でした。
■予想年収の算出方法
調査対象企業
・上場している不動産企業(編集部基準)
・従業員数50名以上
・グループ会社の場合、有価証券報告書で公表されている単体会社の平均給与で計算
・賞与を含んでいます
各企業が公表している有価証券報告書(2016年7月期~17年6月期まで)の従業員の平均年齢・平均年収データと、厚生労働省による「平成28年賃金構造基本統計調査」を基に計算しました。
「平成28年賃金構造基本統計調査」の業種「不動産業・物品賃貸業」から、5年ごとの年齢階級別に支給される現金給与額を参考に賃金カーブを算出します。各企業の平均年齢・年収を、この賃金カーブに当てはめて算出しています。
【不動産業・物品賃貸業】 従業員10人以上の企業規模における賃金カーブ
(画像=リビンマガジンBiz編集部)
※参照データ:「平成28年賃金構造基本統計調査」