司法書士・家族信託専門士の尾崎信夫です。
今回は、家族信託スキーム④実家を賃貸併用住宅に建替える②です。
前回は、委託者兼受益者を債務者として金融機関と受託者が抵当権設定登記をする。
までお話しました。この後の手続を今回お話します。
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⑧「委託者山田恵子受託者山田太郎信託口」名義の信託口口座を借入金融機関に開設します。
⑨債務者山田恵子口座に金融機関からの借入金を振り込みます。その直後に受託者名義の信託口口座に借入額全額を追加信託します。
⑩建築会社とは、受託者山田太郎が「委託者山田恵子受託者山田太郎」として建築工事請負契約をします。
⑪建築費用の最初の支払いを受託者が行います。その資金は信託口口座から出します。
⑫賃貸併用住宅が完成したら残額を建築会社に同様に払込み、建物の引渡しを受けます。
⑬山田太郎が受託者名義で「所有権保存及び信託財産処分による信託」の登記手続きをします。
⑭家族信託契約書の中に「受託者は火災保険等損害保険の手続を行うことができる」との項目を入れておいて、受託者が契約者として建物の火災保険、地震保険などの損害保険契約を保険会社と契約します。
⑮賃借人との賃貸借契約を受託者山田太郎が行います。
⑯家賃の振込先を「委託者山田恵子受託者山田太郎信託口」とし、この口座で家賃の収益管理を行います。
⑰金融機関の返済もこの信託口口座で引き落とし、また固定資産税などの公租公課や火災保険などの保険料の支払いもこの口座で引き落とします。
このような手続を行えば例え母親の恵子さんが認知症や脳梗塞あるいはころんで頭を打つ(実際結構あります)で判断能力が低下したも工事を行うことができます。
このスキームは、山田恵子さん、太郎親子が望む新しい家で母親の終生の生活すことを確実にできると同時に建築会社も安心して建築工事を行えるし、金融機関も安心して貸し出しができるとみんなが「安心」を手にすることができるのです。
次回は、建替えのことをもう少し書いて、その後実家を売却する場合を詳しく書きます。
次回もよろしくお願いします。
尾崎信夫司法書士事務所
司法書士・家族信託専門士 尾崎信夫