司法書士・家族信託専門士の尾崎信夫です。今回も「認知症になっても相続対策を止めない家族信託」の家族信託契約書についての続きです。
(山田家相続関係事例)
第4条からの続きです。
4 受益者
受益者とは、経済的利益を受ける人のことです。
不動産承継信託型家族信託の場合
①信託した不動産の賃料を受け取る人
②信託した不動産の売却代金等を受け取る人
③信託不動産が自宅の場合は、居住する権利
第4条(受益者)
本信託の受益者は次のとおりとする。
(1)当初受益者は山田父朗とする。
(2)父朗が亡くなった時は、山田子太郎を第二受益者とする。
(3)前号において既に山田子太郎が死亡していた場合は、第二受益者は山田孫太郎とする。
(4)第2号において山田子太郎が第二受益者となった後、亡くなった時は、第三受益者は山田孫太郎とする。
・・・
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5 信託不動産の管理・運用及び処分
ここで受託者が委託者兼当初受益者から託されている仕事の内容が
決まるということになり、ここに書いてあることしか受託者は託されていない
ということになるのです。信託の目的に次いで重要な条文です。
まず信託不動産について
第5条(信託不動産の管理、運用及び処分の方法)
受託者は、以下の方法により、信託不動産の管理、運用及び処分する。
①・・・
②・・・
③賃貸建物は、第三者に賃貸することができる。
④信託不動産の維持・保全・修繕(大規模修繕も含む)などを行うことができる。
⑤新たな建物を建設すること及び建物を解体することができる。
⑥信託不動産の売却、購入、交換等を行うことができる。
⑦必要な資金を第三者から借入をし、信託不動産に担保権を設定することができる。
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6 信託金銭の管理・運用及び処分
次に信託金銭について
第6条(信託金銭の管理・運用・処分)
受託者は、以下の方法により、信託金銭の管理、運用及び処分する。
(1)信託金銭を自らの固有の財産とは分別し、信託口口座によって、管理しなければならない。
(2)信託金銭を信託不動産の購入建設、維持管理、処分解体など信託不動産に必要な
一切の費用の支払いに使うことができる。
(3)信託金銭を父朗(受益者)の生活費、身上監護費に使うことができる。
※受託者は、新たに「委託者山田父朗 信託受託者山田子太郎」名義の信託口口座を開設し、信託金銭を管理しなければなりません。
以降のことは、次回書きます。