司法書士・家族信託専門士の尾崎信夫です。今回は、「認知症になっても相続対策を止めない家族信託」の家族信託契約書についてです。
(山田家相続関係事例)
今回の事例は、「父朗→子太郎→孫太郎」のスキームですが、この事例の家族信託契約の中身をお書きします。
1 信託の目的
信託の目的は、受託者が何をすべきか、その事務処理の指針及び基準となる
「委託者の命令的な行動指針」です。
そのため受託者はこの目的に沿って信託事務を行い、この目的外の行為は原則できません。
このため「信託の目的」は信託契約書のなかで最も重要な条文です。
家族信託契約書例(契約書例は簡略番です。以下同様です。)
第1条(信託の目的)
本信託の目的は以下のとおりとし、これを実現するため、子太郎は信託された財産の管理運用処分を行う。
(1)父朗(受益者)の日常生活を支援し、安定した生活・療養及び福祉の確保のため、終生支援すること。
(2)信託財産を適切に運用し、円満円滑に子太郎に資産を承継させること。
(3)将来においては、円満円滑に孫太郎に資産を承継させること。
2 信託の財産
信託財産は、管理承継できる財産であること。
現在の父朗の財産だけでなく将来父朗が取得するものも含むことができる。
第2条(信託財産)
本信託財産は、次のとおりとする。
(1)下記記載の不動産所有権(以下、「信託不動産」という)
(2)現金〇〇万円(以下、3号乃至〇号までの金銭を含め「信託金銭」という)
(3)第〇条により追加信託された金銭
(4)不動産からの賃料、売却代金等の収益金
(5)受託者が借入をすることにより得られる金銭
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3 受託者
信託財産の管理など信託事務を処理する人
不動産承継型家族信託の場合
①不動産の管理をする人
②不動産の売却をする人
③その他不動産経営の実権を握る人
第3条(受託者)
(1)当初受託者は、山田子太郎とする。
(2)子太郎が次のことに該当した時は、第二受託者として孫太郎が就任する。
①死亡したとき。
②後見開始したとき
③受益者になったとき
④その他受託者の任ができなくなったとき
(3)・・・
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第4条以下は、次回書きます。