年々増加する空き家は、大きな社会問題になっています。そんな空き家を活用するために、今、空き家バンクが注目されています。一体、どんな制度なのでしょうか。
■空き家バンクとは
最近話題の空き家バンク。活用している自治体も多いようですが、一体どのようなものなのでしょうか。
空き家バンクの仕組み
空き家バンクは、自治体や、自治体から委託を受けた団体が、空き家を売却・賃貸したいオーナーと空き家を購入・入居したい人をつなぐ仕組みです。
まず登録を希望物件が自治体による審査を受け、一定水準の住環境が保てると判断された物件のみが空き家バンクに登録されます。物件は自治体のホームページなどで公開されます。それを見た利用希望者から自治体に連絡が来たら、マッチングさせるという仕組みです。
空き家バンクの実態
空き家バンクを利用している自治体は、約500と言われています。しかし、それらの空き家バンクでも、登録件数が20件未満の組織が、約80%。空き家バンクはまだまだ利用率が低いようです。
物件の状態が良ければ通常の売買や賃貸に出されますし、状態が悪ければ売却や賃貸の対象にならないと放置されたままになるため、十分な活用がされていないというのが実態です。
現状は所有者が動かなければいけない空き家バンク。団体が積極的に動く仕組み作りが必要です。
■空き家バンクのメリット・デメリット
一見よさそうな仕組みの空き家バンクですが、当然、メリットもデメリットもあります。それぞれ確認してみましょう。
メリット
空き家を所有している人が空き家バンクに登録すると、改修に伴う費用を助成してもらえる制度があります。元々は老朽化した空き家を活用するためのシステムなので、取り入れている自治体が多いようです。また、空き家バンクを利用して移住する人に対して、助成金を支給する団体もあります。中には、引っ越し代まで補助してくれるところも。さらに自治体によっては、当初は賃貸として入居したとしても、長期居住者にはその家をプレゼントしてしまうというところもあります。住居は家計の中でも大きな支出です。住む地域にこだわりがない人や、仕事に自由のきく人は、利用を検討してみるとよいでしょう。
デメリット
空き家バンクは、あくまで空き家のオーナーと利用希望者とのマッチングシステムに過ぎません。つまり、マッチングが終了すると空き家バンクを運営する自治体や団体から離れ、通常の不動産と同じ取引が行われます。不動産会社を挟まない取引になると、素人同士のため、トラブルが発生する可能性も。最近では不動産会社に関与してもらう取引もありますが、そうなると当然、通常の不動産と同様の手数料がかかります。
また、補助金を利用した空き家所有者は、一定の期間、空き家バンクへの登録が必須となります。まだまだ認知度が低いため、この期間がロスになってしまう可能性もあります。
自治体は、もっと積極的な空き家バンクの周知や利用の促進が必要となっています。