不動産の価値は、様々な要因で変わります。土地や建物そのものも、もちろん評価対象となりますが、それがある環境によっても評価は大きく変わってきます。中でも「道」は、土地に影響を与える大きな要因となります。
■道路によって変わる不動産の価値
道路は、不動産の価値に大きな影響を及ぼす要因です。まずはその、道路について、確認しておきましょう。
道路と建築基準法
建築基準法には、幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接道していない土地には、建物を建てることができないという規定があります。この「道」とは、どのような道なのでしょうか。
建築基準法上の「道」には、いくつかの基準があります。
①道路法による道路
②開発道路
③既存道路
④計画道路
⑤位置指定道路
⑥みなし道路
このいずれかに当てはまれば、建築基準法上の道として認められ、建物が建てられます。
公道と私道
道には大きく分けると、公道と私道の2種類があります。同じように見える道路でも、この分類によって大きな違いが出てきます。公道は、国や都道府県、市町村など、公の持ち物です。一方、私道は、個人の持ち物です。
その道が建築基準法上の道路として認められているかは、役所にある公道を管理している道路管理課や、建設指導を行っている建築指導課で調べることができます。既に持っている土地や購入しようとしている土地に接している道がどんな土地か、必ず調べておきましょう。
■再建築不可物件
では、幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していない土地には、絶対に建物は建てられないのでしょうか。また、他に何か気を付けることはないのでしょうか。
セットバックとリフォーム
生活道路の中には、道幅が4m以下というところもたくさんあります。これらの道路に接している土地をすべて建築不可にしてしまうと、生活基盤が揺らいでしまいます。そこで、幅員4m未満の道路は、セットバックをすることによって、再建築ができるという法律があります。セットバックとは、道の中心線から2mの位置まで敷地を後退させるということ。向かいの家が再建築する際に同じく2mの位置まで後退すれば、幅員4mになる、という考え方です。
また、接道義務を満たしていない土地であっても、古家が建っていれば、その家をベースにリノベーションをすることができます。最近では建築技術の発達により、新品同様の家に生まれ変わることも。ただし、新しい家を建てる以上の費用がかかる場合もありますので、慎重な検討が必要です。
但し書き道路に注意する
接道義務の要件に満たない道路であっても、「第43条但し書き」という規定より、救済措置が取られているものもあります。通称「但し書き道路」と呼ばれるこれらの土地は、相場よりも安く売買されます。ただし、この但し書きがある土地に関しては、永遠に建築が認められるとは限りません。再建築が認められなくなると、将来的に価値がまったくなくなる可能性もあります。購入を検討する時は、条件などをよく調べておきましょう。