2015年の時点で、空き家は全国で約820万戸もあると言われています。政府は空き家対策に乗り出していますが、相続税の観点から、空き家を所有している場合、何か不利になることがあるのでしょうか。
■空き家対策特別措置法で、空き家所有は不利に!?
周囲の生活環境に悪影響を及ぼす空き家を減らそうと、2015年に空き家対策特別措置補が施行されました。それにより、相続税対策で空き家を所有していることで、不利益が生じる可能性があります。
空き家が課税対象に!
通常、親族から不動産を相続すると、基礎控除額を差し引いた後の金額を元に、相続税を支払います。しかし、平成27年に施行された税制改正により、人の住んでいない空き家を相続した場合、相続税が高額になってしまうケースが増えてきました。改定前は
●5000万円+(1000万円×法定相続人数)
であった控除額が、改定後には
●3000万円×(600万円×法定相続人数)
まで引き下げられました。さらに、相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられ、資産額が大きい程、税の負担が大きくなりました。
空き家になった理由も大切
空き家を黙って相続してしまうと、高額の税金を取られる可能性があります。しかし、ある特定の条件を満たして入れば、減税措置対象とならなかった空き家を相続しても減税の対象となるようになりました。条件の1つは、元の持ち主である親族が、要介護または要支援認定を受けて介護施設に入所したなどです。こういった理由は、申告しなければ制度を利用できません。減税を受けるためにも、相続の際は、役所などに相談してみましょう。
■所有している空き家の相続税対策
では、空き家を相続する際、高額の相続税を払わなくて済むようにするには、どのようにすればよいのでしょうか。
賃貸に出そう
相続した物件が賃貸住宅の場合、相続税が安くなります。これは、土地と建物の評価額から、一定の金額が減額されるためです。土地の評価額は、空室率が0%の場合、約2割程度。建物の評価は、同じく空室率が0%の場合、約3割程度の減額が認められます。
空室がある場合は減額が少なくなりますが、一戸建ての場合は誰かに賃貸さえしていれば空室率0%となり、この減税が全額受けられることになります。相続前、早い段階で賃貸に出しておけば、収入も得られるので、さらに安心です。
売却も考えてみよう。
相続した空き家を譲渡すると、譲渡所得の特別控除が受けられる制度ができました。特別控除が適応されると、贈与所得から最大3000万円、約600万円が減税されます。控除を受けるには、旧耐震状態の家屋であること、以前の持ち主の自宅で他に居住者がいなかったこと、譲渡額が1億円以下であることなど、いくつかの条件があります。また、期間は相続開始より3年を経過する日の12月末までに売却をした場合のみに適用されるので、注意しましょう。