使っていない土地を有効活用したい時、他人に貸すという選択をする人もいるでしょう。しかし、土地を貸すと、簡単には返してもらえない場合もあるということをご存じですか?
■借地権に注意する
土地を「使用契約」ではなく「賃貸契約」にしてしまうと、借地権が発生します。そうなると、長期間の貸し出し対象となり、なかなか返してもらえないケースも。土地を貸す時は、借地権という権利が発生することをまず理解しましょう。
借地権とは
借地権とは、第三者から土地を借りる権利のことです。例えば、土地を借りてマイホームを建てたとします。5年後に、土地の権利者から突然「土地を返して欲しい」と言われると、家を建てた人は困ってしまいます。そういった土地の借り手を守るために、借地権という権利が制定されました。借地権には、旧借地法に基づく借地権と、新借地法に基づく借地権の、2種類の借地権があります。
旧借地法と新借地法
旧借地法では、家を建てて住んでいる間は、土地を期限なしで借りることができます。また、家を建て替える時も、正当な理由がなければ拒めません。つまり、半永久的に土地を返してもらえない可能性があります。それにより土地を貸す人が少なくなったため、平成4年に新しい法律ができました。それが、新借地法です。新借地法では、一定期間が経過すると借地権が消滅し、土地の所有者に返さなくてはなりません(ただし、法定の期間以下の契約は無効となり、自動的に法定の期間となります)。また、土地返還時は借地権者の負担で土地を元の状態に戻すという条件もついています。
■土地を安心して貸すために
では、契約をきちんと決めて土地を貸したい場合は、どのようにすればよいのでしょうか。
土地使用契約を行い、建物を認めない
土地を貸す時、目的を訪ねての「土地使用契約書」を取り交わします。その際、土地には建物を建てないこと、土地の一時的な使用しか認めないこと、金銭を受け取る場合は地代ではなく使用料であることを明記します。
例えば資材置場として土地を貸してほしいという依頼があった場合、仮設のプレハブ倉庫であっても、建物を建てられてしまうと借地法が適用されます。また、勝手に工作物を建てられたとしても、そのことに抗議をしないと、建物を認めたことになにってしまいます。この場合、同じく借地法が適用されます。
建物を作る時は、定期借地権を利用する
定期借地権は、一定の期間内で、任意の契約期間を決めて土地を貸すことができる法律です。定期借地権には、
①一般定期借地権:契約期間が50年以上。
②事業用借地権:契約期間が10年以上50年未満の事業用借地権。
③建物譲渡特約付借地権:契約期間が30年以。契約終了後は建物を土地所有者に譲渡する。
の3種類があります。自分の都合にあった契約を結びましょう。
土地を貸すという行為は、とても難しいことです。大切な財産を守るためにも、土地を貸す時には、専門家によく相談して行いましょう。