最近では、地方だけでなく都心部にも空き家が増え、社会問題となっています。しかし、結局、空き家が増えるということは、どういう問題が起きるということなのでしょうか。
■空き家が増えるリスク
空き家が問題、ということはよく聞きますが、一体どんな問題があるのか、ご存じですか?まずは、空き家が増えることによってどのような社会的リスクがあるかを確認しておきましょう。
空き家問題とは
空き家は、その存在が経済的に不利益をもたらしているものとされています。空き家があることによって、犯罪が増えたり、環境が悪化したりと、その地域に悪い影響をもたらすということです。例えば、住宅地に空き家があり、そこに1台のテレビが捨てられたとします。すると、他にもゴミを捨てる人が増えて、次第にゴミ屋敷のようになっていきます。やがて家が傷み、倒壊の危険が増加します。また、害獣や害虫が住み着き、不衛生な状態になることも。そうなると、その地域の一角は人気が低下し、不動産価格が下がります。結果、経済の低下につながる、というわけです。
空き家の現状
平成25年の時点で、空き家は全国で約820万戸。実に13.5%の家が空き家となっています。空き家にはいくつか種類がありますが、中でも問題なのが、用途がなく使われていない物件です。独り身の親族が亡くなり、地方の戸建てを相続した、といったケースが多いため、こういった空き家が増えているようです。
■空き家問題への対策
あまり良いことがなさそうな空き家。なぜ、こんなに空き家が増えてしまったのでしょうか。また、問題解決のために、有効的な対策はあるのでしょうか。
空き家が増えたのはなぜ?
空き家が増えた理由は、少子化、晩婚化、核家族化、地方の人口減少など、様々な理由があります。しかし、そもそも古くなった使わない家を取り壊せば、その家は空き家ではなくなるのです。では、なぜ空き家を更地にしないのでしょうか。主な理由は、高額な解体費用と、税金にあります。
家を1軒解体するには、場所や面積にもよりますが、全国の平均的な解体工事費用は1坪3.5万円。つまり、30坪ほどの家を解体するのにかかる費用は、約105万円です。住まない家のために支払う費用としては、高額だと感じる人が多いようです。
また、もし解体をして更地にすると、今度はその土地の税金が高くなるというデメリットもあります。建物がある場合、土地の固定資産税が特例によって軽減されます。しかし、更地になってしまうとこの特例が適用されなくなるため、場合によっては4倍もの税金がかかってしまうケースも。
こういったリスクを避けるために、放置される空き家が増えているというわけです。
空き家対策特別設置法
空き家を減らす対策として、各自治体でも、解体費の補助などの対策を打ち出しています。中でも政府が制定した「空き家対策特別設置法」が、注目されています。この法律では、空き家の中でも特にリスクが高い空き家を「特定空き家など」として、解体などに際して行政による介入が許されることになりました。この特定空き家に指定されると、自己負担で早急に対処をしない場合、行政から強制的に対処を求められる上、固定資産税の優遇措置も受けられなくなるというものです。
最近では古い住宅にも人気が集まっており、空き家バンクなどのサービスも少しずつ増えています。自身が所有する空き家も、うまく活用できる道がないか探してみましょう。