肉親の死は、ある日突然やってくることもあります。悲しみに浸っている間に、肉親の財産が相続のトラブルなることもあります。遺族間で争ったり、高額な税金を請求されたりすることも。そうなる前に、日ごろから相続の準備をしておきましょう。

 

■生前にできる、相続の準備

 最近では終活などで、本人が生きている間に財産の整理や遺言を作成するケースも増えています。生前に相続を行うことによって、争いや高額の税金を上手に回避する方法もあります。

 

生前贈与

 生前贈与とは、本人が生きている間に、指定する人へ自身の財産を譲渡する行為です。本人の意思がきちんと尊重される上、年間110万円までなら税金がかからないというメリットがあります。20年以上の婚姻関係がある配偶者なら、加えて2000万円までの不動産を非課税で相続させることもできます。また、生前に本人の意思によって行われる相続のため、死後に親族間の争いを避けることもできます。

 

相続時精算制度

 相続時に再度の税金を精算するという約束のもと、生前贈与の税金を優遇してもらう、という制度です。この制度を利用すると、2500万円までは無課税で贈与することができます(ただし、相続時に相続税が発生する可能性あり)。例えば、都心の好立地にある土地など、将来値上がりしそうな不動産を贈与しておくと、相続時の税金が抑えられる可能性があるというメリットがあります。また、生前贈与同様に相続時の争いのリスクも減らせます。

 一方で、一度この制度を利用することを決めてしまうと、撤回することができません。110万円の非課税枠を使えなくなるデメリットも。また、贈与税は発生しなくても、相続の際に相続税が発生する可能性もあります。もし現金がない場合でも、生前贈与を受けた財産は物納できません。

メリットもデメリットもある制度のため、使用する際は、良く考慮することが大切です。

 

■死後の相続準備

ある程度の準備をしていても、実際に亡くなってから相続が発生することは多々あります。死後の相続についても、確認しておきましょう。

 

遺産分割協議

 相続人が複数いる場合、遺産の分割を相談するために、親族間で相談をします。法定の割合に従う場合、配偶者に2分の1、子どもが残りの2分の1を均等に分割します。しかし、不動産など、複数人で分けにくい財産がある場合は、遺族間でもめてしまう場合もあります。そんな時のために、エンディングノートや遺言を用意しておくなど、日ごろから相続について、よく相談しておくとよいでしょう。

 

相続税の割合

 相続税は、法定相続人全員が相続する金額の合計にかかってきます。税率は、1000万以下なら10%、3000万円以下なら50万円を控除した後に15%、5000万円以下なら200万円を控除した後の20%…といった具合に、細かく規定されています。ただし、現在では基礎控除として、配偶者3000万円+600万円×法定相続人、という金額が、非課税で相続できます。

いざ相続する時に慌てなくても良いように、制度や税額を、よく確認しておきましょう。 

 
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