東日本大震災以降、人々の防災意識は高まっています。その一方で、高層マンションが都心に増え続け、昔ながらの防災対策だけでは不十分な可能性が。高層マンションの防災対策は、どうなっているのでしょう。
■高層マンションの防災
マンションでは、高層階になればなる程、災害時のリスクは高くなると言えます。地震の際は、揺れも低層階に比べて大きく、長く続きます。高層マンションならではの防災はどのようなものなのでしょうか。
高層階の住人が難民に!?
不動産業界の中では、20階以上のフロアを持つ住居のことを超高層マンションと位置付けています。高層マンションは、耐火・耐震性を重視して建てられているため、大地震にも耐える力を持っていると言われています。しかし、低層階に比べると、災害時のリスクはどうしても高くなります。地震の際は揺れが大きくなり、時間も長く続きます。火災が発生した際は、避難に時間がかかり、はしご車も届きません。また、建物は無事で生活はできるものの、ライフラインが止まってしまうこともあります。実際、東日本大震災の時は、電気や水道などが止まり、高層階の住人は何度も階段を上り下りしたり、備蓄していなかったために重い水を運んだりと、大変な生活をしなくてはなりませんでした。こうした事態から、高層階で孤立してしまった住民は「高層難民」とまで呼ばれたそうです。
災害時の対応
では、実際に災害が起こってしまったら、高層階の住民はどうしたらよいのでしょうか。まずは、自分と家族の安全を確保します。火の元の確認し、外への避難路の確保をします。ドアはゆがんで開かなくなる可能性もあるため、すぐに開きましょう。部屋の外に出たら、非常口から脱出します。このような事態に備えて、日頃から避難経路を確認しておくことが大切です。エレベーターは閉じ込めなどの二次被害の恐れがあるため、絶対に使用してはなりません。万が一エレベーターに閉じ込められたら、各階のボタンをすべて押し、止まった階で折ります。最近のエレベーターは、地震の揺れを察知したら最寄りの階に停止する機能もついています。安全が確認できたら、すぐにエレベーターを脱出しましょう。
■都内の高層マンションと防災対策
現在、都内では高層マンションに向けて、災害マニュアルを作成するよう呼び掛けています。都内にある高層マンションでは、どのような防災対策をしているのでしょうか。
マニュアルや災害時の体制を作る
災害時、行政のマニュアルに頼ることも可能ですが、住宅数の多い高層マンションでは、自主防災活動も非常に大切です。
大震災の際、自主防災が整っていたマンションでは、共有スペースを集会所や高層階住人の待機スペースとして確保したり、有志がカセットコンロを持ち寄って炊き出しをしたりと、住民が協力しあうことで災害を乗り切ることができたようです。
都内の各自治体では、こういった体制やマニュアル作成の手伝いをしてくれるところもあります。自分の住むマンションに災害マニュアルはあるのか、またそれは自分のマンションにふさわしい内容なのか、確認しておきましょう。
近隣や地域との連携
災害時は、地域の連携が非常に重要です。そのためにも、日頃からマンション住民とのコミュニケーションや、近隣との付き合いがとても大切になります。地域の関係が良好であれば、大きな災害を乗り切ることもできるのです。