住宅性能評価書、という言葉をご存じでしょうか。実は不動産業界では、ジワジワとこの言葉が話題となっています。今後注目したい、住宅性能評価書についてご案内します。

■住宅性能評価書とは

 言葉の響きから、何となく住宅に関する書類なのかな、と思われる住宅性能評価書。一体どんなものなのでしょうか。

 

住宅性能表示制度

 住宅性能評価書を知るためには、住宅性能表示制度を知る必要があります。住宅性能表示制度とは、平成12年に施行された制度で、「住宅の品質確保の促進に関する法律(品質方)」に基づいて制定されました。品質法は

①10年間の瑕疵担保責任の義務化

②住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定

③指定住宅紛争処理機関の整備

の3つの柱で構成されています。

 住宅性能評価書は、②の「住宅性能表示制度」に基づいて、発行されます。

 

住宅性能評価書は、住宅の通知表

住宅性能評価書は、専門家でない人でも住宅の性能が一目でわかるように、

(1)構造の安定

(2)火災時の安全

(3)劣化の軽減

(4)維持管理・更新への配慮

(5)温熱環境

(6)空気環境

(7)光・視環境

(8)音環境

(9)高齢者等への配慮

(10)防犯対策

の10分野・32項目を評価したものです。評価は1~3の点数で表示され、いわば住宅の通知表のような働きを行います。住宅性能評価書には設計の時点で発行される「設計住宅性能評価書」と、完成してから発行される「建設住宅性能評価書」の2種類があります。

 

 

■住宅性能評価書のメリット

住宅性能評価書についてはわかったけれど、それを得ることによって何のメリットがあるのでしょうか。住宅性能評価書が注目されている理由は、そのメリットが大きいからなのです。

 

安心とオトクがいっぱい

前出の通り、住宅性能評価書は住宅の性能を、1から3の点数で表示します。それにより、これまでは説明を受けてもわかりにくかった住宅の性能が、数値というわかりやすい形で、一目で比較できるようになりました。チェックをしているのは、国土交通省の登録を受けた第三者機関なので、公平な判断がされていて安心できます。

住宅性能評価書の提出により、フラット35を含んだ住宅ローンや、地震保険が安くなる場合があります。中古で購入した場合でも、確定申告時に提出すれば住宅ローン控除をスムーズに受けることができます。また、万が一、住宅に関してトラブルがあった場合、住宅性能表示制度で制定された「指定住宅紛争処理機関」が対応をしてくれます。

住宅性能評価書がついた物件は、安心な上にお得感もある、ということです。

 

数値のみで判断しない

 では、評価されている数値が高ければ高いほど、その住宅はよいのでしょうか。もちろん、性能が良いに越したことはありませんが、数値が高いということは、それだけコストも高くなる、ということです。例えば、閑静な住宅街に、高性能の音環境は必要でしょうか。また、光・視環境を高くするために窓を大きくとった結果、温熱環境が低下するといった相反関係にも注意が必要です。

生命や財産を保護するための機能以外は、自身が求める生活にどんな性能が必要なのかを考え、きちんと選択することが大切です。 

 
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