建物は完成後から、少しずつ劣化していきます。そのためマンション管理は定期的な修繕を行い、資産価値を維持していかなくてはなりません。大規模修繕をうまく利用し、資産価値をより高めて売却しましょう。
■大規模修繕の計画を立てる
マンションなどの集合住宅を購入した場合、価値を少しでも低下させないために、修繕をしながら住むのが一般的です。では、大規模修繕を始めるまでに、どんな手順が必要なのでしょうか。
専門家と相談しながら、計画を立てる
大規模修繕工事は、タイミングや予算が大切になります。予算は修繕積立費を利用したり、物件を担保にして金融機関から借り入れたりします。修繕を効果的に実施するには、建物や設備について事前の建物診断が欠かせません。診断は、施工会社などの専門家の意見を取り入れながら行います。
修繕は管理組合の総会決議で決める。
大規模修繕工事を行うには、まず管理組合の総会決議が必要です。形状または効用の著しい変更を伴わないものは、所有者の過半数の賛成があれば修繕ができるようになりました。形状や効用に大きな変更が伴う修繕工事の場合は、4分の3以上の賛成が必要となる場合もありえます。
■修繕工事で資産価値を高めるために
せっかく修繕工事を行って美しいマンションにするのですから、修繕前よりも高く売りたいものです。どのような修繕工事を行うと、物件としての資産価値が上がるのでしょうか。
安全を高める
2011年の東日本大震災の発生以来、マンションの耐震についての意識も高まりつつあります。2013年の耐震改修促進法が執行され、行政による補助金制度が整備されました。すでに耐震対策がされている物件もありますが、その工事が十分でない場合も。より安全性の高い耐震工事を行うことで、マンションの価値も大きく上がります。また、防犯カメラやインターホンなどのセキュリティー設備も、最新の物に変えられている物件には、人気があります。不足している安全性を上げることで、マンション自体の価値も高めていきましょう。
バリューアップ工事を行う
大規模修繕工事には、基本的な修繕にほんの少しプラスするだけで建物価値を高める、バリューアップ工事があります。例えば築20年ほどのマンションで多く見られる吹き付けタイルは、経年の汚れも付きやすく、およそ10~15年ごとに修繕が必要でした。しかし、上から本物のタイルを貼る修繕を行うと、外観上の高級感が増し、汚れも目立たなくなります。さらに、エントランス部分の修繕も高い効果が期待できます。大きな改装はせずとも、カラーや素材の変更や、ライティングの改修など、ほんの少しの演出で見違えるほど高級感が生まれます。