こんにちは。弁護士の大西敦です。

 先日、日照被害についての相談を受けました。その内容は、一軒家を購入して住んでいるが、道路を挟んで向かい側でマンションが建設中であり、日が当たらなくなっているとのものでした。

 日照権というのは、一定時間以上の日当たりを確保して、健康的な生活を送る権利のことを言います。

 日照権に関する法令については、建築基準法、都市計画法、各条例がありますが、ここでは省略します(日照に関する法的規制については改めてお話したいと思います。)。

 日照被害に対する法的手段として考えられるものは、①仮処分、②調停、③訴訟があります。これは被害者が申立て、あるいは、訴訟提起することによって実現できる法的手段です。
 この他に、当該建物が建築基準法に違反している場合には、市町村長や都道府県知事が是正命令、行政代執行を行うこともできますが、ここでは省略します。
 

 仮処分

 これは、建築工事差し止めの仮処分命令を申し立てるという方法です。
 当該建物が建設中の場合には、日々工事が進行していきますので、仮処分の申立ては適切な方法となります。
 ただ、これは本訴訟にも当てはまることですが、建築工事差し止めの仮処分は、建築基準法に違反しているような場合でない限りは、仮処分が認められることはなかなかありません。
 仮処分申立てがなされた場合には、その手続に中で和解の話が進められることが多いと思います。
 金銭的な解決の他、一部設計変更をすることによって、日照被害の程度を少なくする処置を取るという内容で和解が成立することがあります。


 調停

 

 調停は、裁判所において、当事者双方の話を聞き、当事者双方が合意する手続のことをいいます。
 調停の場合には、調停委員のうち、一人は建築士等の建築問題に精通した調停委員であることが多いと思います。
 従いまして、訴訟や仮処分よりも、その準備については労力的にも経済的にも軽減される場合があると言えます。
 調停条項の内容としては、仮処分の場合と同様です。

 訴訟

 訴訟は、建築工事差止請求訴訟、損害賠償請求訴訟、建物撤去請求訴訟が考えられます。
 すでに、建築工事が完成している場合、調停が不成立になった場合、調停では解決が困難になりそうな場合には、訴訟提起を行うことになります。

 
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