こんにちは。弁護士の大西敦です。
先日、マンションを購入したが、管理組合から4年分の未払い管理費と修繕積立金を請求された、支払いに応じなければならないのかとの相談を受けました。
結論から言えば、マンションを購入した者は、管理費及び修繕積立金の支払いに応じる必要があります。
マンションにおける管理費、修繕積立金は、区分所有法7条1項に定める「債権」に該当します。
そして、マンションを購入した者は、区分所有法8条の「特定承継人」に該当します。
従いまして、購入した者は売り主に未払管理費等があることを知っていたかどうかにかかわらず、管理費等の支払義務を負うということになります(もちろん、売り主においても、マンションを手放したからといって、支払義務を免れるわけではありません。)。
今回の相談者は、未払管理費があることを知らずにマンションを購入してしまいましたが、仲介会社が介入しない売買でない限りはこのようなことはあまり起きません。
なぜなら、宅地建物取引業者がマンション売買の仲介をする際には、未払管理費、修繕積立金については、売り主に説明すべき重要事項となっているからです。
なお、管理費等の未払いに対する法的手段としては、管理費等を請求する他に、区分所有法59条に基づく競売請求という方法があります。要するに、管理費の滞納を続けてしまった場合、マンションが競売に掛けられてしまうということになりますが、これについては別の機会にご説明したいと思います。
【建物の区分所有等に関する法律】
(先取特権)
第7条
1 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法 (明治29年法律第89号)第319条の規定は、第1項の先取特権に準用する。
(特定承継人の責任)
第8条 前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
(区分所有権の競売の請求)
第59条
1 第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
2 第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3 第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。
4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。