前回までは山林売却にかかる費用について話してきましたね。そして残った費用は4つめの所得税です。前回までに説明した印紙税も税金ではあるのですが、所得税は確定申告が必要になったり、山林を購入してからの期間に応じた特別控除があったりと、詳しい説明が必要となるので、「売却にかかる税金とは?」とタイトルを変えて話しますね。
まず山林売却時にかかる所得税には2つのものがあるという話からはじめます。「1つの土地を売却するのに、なんで2つの税があるの?」と不思議に思われる方もいるかもしれませんが、山林売却の流れ①で話したように、山林は「木材生産を目的とした植林地」として購入されることが多く、その土地にはえている立ち木にも価格がつくのです。そのため立ち木部分の所得は山林所得として、土地の部分は譲渡所得として申告することとなります。
まずはほかの土地売却でもかかってくる「譲渡所得に対する税」について説明します。譲渡所得の計算方法はほかの土地売却と同じように、譲渡して得られた収入から諸経費を差し引いた額となります。
式にすると
譲渡所得 = 譲渡収入 – 諸経費
ですね。この譲渡収入とは土地部分の売却価格にあたります。ただこの計算で算出された譲渡所得はあくまでも所得金額で、必ずしもこの金額を元に税金の金額が決まるとは限りません。
というのも、税金を計算するときにはある特定の条件にあてはまった所得に関して税額を軽減する「特別控除」というものがあるからです。山林の場合にはあてはまる特別控除がほとんどないと考えてよいですが、1つだけ例外があります。それは売却する理由が「公的な事業による収用」である場合です。この条件に合致する場合には特別控除額を差し引いた金額が課税の対象(課税譲渡所得)となります。
この課税譲渡所得に土地の所有期間に応じた税率をかけたものが、譲渡所得税額となり税金として払わなくてはいけない金額となります。税率は土地の所有期間が5年以内の場合(短期)は39.63%、5年を超えた場合(長期)は20.315%となります。