① 減価償却って何?
物件を購入した場合に、建物の耐用年数に合わせて建物の取得価額を毎年の費用として計上していく
ことを減価償却費を計上するといいます。
減価償却費を計上すると、建物の取得価額は毎年減っていくことになります。これは年々建物の価値
が落ちていくことを意味します。土地はといいますと、土地は価値が落ちないと考えられていますの
で、減価償却はありません。俗に非償却資産と呼ばれています。
減価償却の特徴としましては、個人は強制償却、法人は任意償却となっています。
② 物件の取得時の3つのポイント
種類
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構造・用途
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細目
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耐用年数
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建物
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鉄筋コンクリート
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住居用
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47年
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鉄骨(4mm超)
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住居用
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34年
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鉄骨(3mm超)
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住居用
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27年
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鉄骨(3mm以下)
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住居用
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19年
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木造
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住居用
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22年
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建物付属設備
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電気・給排水・冷暖房設備
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その他
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15年
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耐用年数(上記図参考)は税法で決められています。上記の鉄筋コンクリート(RC)の耐用年数は
47年ですが、これは新築の耐用年数になります。中古物件の場合は、別に計算方法が定められてい
ます。
物件を取得する時の1つ目のポイントは、物件の取得価額を建物と建物付属設備に合理的な方法で分
けられるかということになります。
どういうことかと言いますと、建物RCの耐用年数は47年、建物付属設備の耐用年数は15年にな
ります。新築RC物件を購入して、その取得価額をすべて建物に振り分けると、建物付属設備として
費用にできる年数が32年遅くなります。減価償却費は資金の出ない費用になるので、早く償却費を
計上できれば、資産の現金化になりますし、節税になります。キャッシュを手許に残すにはこういう
ことをきっちりしていくことが大切になります。
新築の場合、建物と建物付属設備の合理的な分け方は、見積書や計画書に記載されている建物付属設
備の金額を拾う作業が大切になります。中古の場合は、合理的な方法は物件によって異なります。例
えば、建物付属設備を何の根拠もなしに20%取っていて問題になったケースもありますので、ご注
意ください。
2つ目のポイントは、物件を取得したときに支出した建物の改修費用は基本的に建物取得価額に含まれ
るということです。入居率が低い中古物件を購入してすぐに、入居率を上げるために外壁工事や2DK
を1LDKなどへ区分変更する場合などは、修繕費にしたくなる場合が多いですが、基本的に資本的支
出と呼ばれ、取得価額に含まれます。税理士によっては、これを修繕費に入れるノウハウを持っている
方もいらっしゃるので、税理士を探すときのポイントとして聞いてみるのもいいかと思います。
3つ目のポイントは法人で所有するのか、個人で所有するのかを考えることです。短期で所有物件を売
却する場合は法人で取得するほうが得になりますし、長期の場合は個人のほうが得になります。個人所
得が多い場合は、節税対策で物件を取得する場合もあります。それぞれ、最初の物件を購入する場合の
方針によって変わります。
法人で持つか、個人で持つかは、法人税と所得税の税率の違いを含め、多くの取り扱いの違いがあります。
詳しくは次号で解説します。
③ 出口戦略を立てる
法人で物件を取得する場合は、減価償却は任意になります。利益と税率と売却のことを考慮してシミュレー
ションをすると、毎期の決算の方針と減価償却の計上をいくらにすればいいのかが見えてきます。