空き家を有効に活用する手段の1つとして注目されている「民泊」。空いている家や部屋を宿泊所として旅行者に貸し出すサービスで、旅行者にとっては安く宿泊できる上、不動産の持ち主は空き家や空き部屋を有効活用することで、利益をあげられるので、双方ともにメリットがあります。増加している空き家問題と、訪日外国人が増加したことによる宿泊施設不足問題の両方を解決する策としても注目されています。

ただし、日本にはまだ馴染みがない文化なだけあって、法整備もまだ為されていない状況で、自治体によっても姿勢や条例が全く異なります。そこで各自治体の民泊に関する取り組みの事例をご紹介します。

外国人観光客が多い福岡市では、慢性的な宿泊施設不足問題があることから空き家の利用を推進したい考えで、旅館業法関連条例を改正。2016年12月1日より民泊の営業許可申請の受け付けを開始しました。当日に早速2件の申請があり、22件の相談があったそうです。マンションでの民泊も可能ですが、管理事務所を10分以内で駆けつけられる場所に設置することを義務付けています。

一方で日本の代表的な観光都市である京都は民泊には厳しい姿勢を見せています。

背景としては民泊に対する苦情が相次いだことで、「早朝や深夜の騒音」や「ルールを守らずにゴミ出しをする」などの迷惑行為が多数行政に寄せられました。

こうした苦情を受けて京都市では「民泊通報・相談窓口」を設置して、旅館業の許可を得ていない不法民泊や、運営に問題がある民泊に対して改善を求めてきた他、2016年10月にはトラブル防止のため、「指導要綱」を運用し、指導に従わない場合は京都府警に刑事告発するなど厳しい姿勢を見せています。

以上、民泊の利用を推進したい福岡市と、民泊の規制を強化する京都市の事例を取り上げました。福岡市のように今後訪日外国人が増えるにつれて宿泊施設が不足するという問題を解消するために積極的に民泊を促進したいという考え方もわかる一方で、京都市のようにトラブル防止を主眼に置く考え方も理解できます。

民泊についてはこのように自治体によって考え方も大きく違います。空き不動産の有効活用の手段として民泊の開業を考えられている方は必ず行政の条例や民泊に対する考え方を確認してから検討していただきたいと思います。

 
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